緊急事態宣言延長でも日経平均3万円の可能性 海外投資家は日本株のどこに注目しているのか
輸出に頼る製造業が多い日本の上場企業にとって37%の円高進行は、かなり強い逆風だったはずだが、それを乗り越えての高値奪回は、円高への抵抗力を増した日本企業の姿が見て取れる。
アメリカのファンドなど海外投資家は日本株の動きを見る際にドル建て日経平均を参考にすることが多いので、ドル建て日経平均の高値更新は、海外勢に日本株復活を強く印象づけ、さらなる買いを誘う要因になるのではないだろうか。「次は円建てでの最高値更新を……」との期待も膨らむ。
先行きの明るさを増してきた2021年の株式相場だが、「環境とデジタル」という投資テーマ2本柱の存在も心強い。
特に、アメリカのジョー・バイデン新大統領は、前政権とは180度方向転換した環境重視の政策を進める方針で、4年間で約2兆ドルの環境インフラ投資を公約に掲げてきた。アメリカでは、大統領、下院に続き上院も民主党が制する「ブルーウェイブ」と呼ばれる状況になったことで、バイデン新大統領の目玉政策である脱炭素への取り組みが加速することになるだろう。
一方で、これも公約として掲げてきた「トランプ法人減税の巻き戻し」や富裕層を対象とするキャピタルゲイン課税の強化、大型ハイテク企業に対する規制強化などは、コロナ禍による経済の落ち込みを考えれば先送りとなる公算が大きい。
当面は、環境インフラ投資を進めながら脱炭素と景気回復の一石二鳥を狙うような財政出動が見込まれる。
世界最大の経済大国アメリカが脱炭素に向けての取り組みを強化することで、世界の主要国は脱炭素の先陣を競うことになり、それが株式市場に息の長い明確な投資テーマを与えてくれることになる。菅義偉首相が「2050年に温暖化効果ガス実質ゼロ」という挑戦的な目標を示した日本においても、脱炭素が株式相場のメインテーマとしてどっしりと腰を据えることになるだろう。
脱ガソリンでEV関連に注目集まる
脱炭素への取り組みの中でも、最近特に注目されているのが自動車における「脱ガソリン」、EV化の流れだ。主要国や地域がそろって「脱ガソリン車」の達成スケジュールを示しており、今後は世界的にEV車の普及が急速に進むものと見られている。
2019年に200万台弱だった世界のEVは、10年後には10倍の2000万台を超えるとも言われる。省エネ、低燃費で世界をリードしてきた日本の自動車業界も急ピッチでの構造転換を迫られることになりそうだ。
現在、世界のEV市場は、アメリカのテスラ社を中国勢が追撃するような形になっているが、いずれもEVの専業。高い技術力を誇る日本の自動車メーカーにとって、EVを開発・生産することはそんなに難しいことではないだろうが、むしろ、現在の主力であるガソリン車生産を止めるタイミングの決断が非常に難しい課題になりそうだ。
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