ANA総会で渦巻いた株主の「懸念」と「要望」 グループを取り巻く"荒波"の象徴か

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直近では、18%を出資する大株主で共同運航(コードシェア)の関係にもある、北九州を地盤とするスターフライヤーが業績悪化に伴い前社長が引責辞任。後任社長をはじめANAグループから支援の目的で人材を派遣したことで、ANAHD株主からその意義を問う質問もあった。

また、グループのLCCであるピーチ・アビエーション(38.7%出資)とバニラ・エア(100%出資)で、パイロット不足に伴う大量欠航が相次いだことに対しての対応を聞く声などもあった。

「投資額は大きく変わらない」

議長を務めたANAHDの伊東信一郎社長

ANAHD株主と経営陣の主な質疑応答のやり取りは以下のとおり。ANA側はHD役員のほか、事業会社であるANA役員が入れ替わり立ち替わり回答したため、回答者を特に記載していない。

――機材発注に伴う大規模な資金調達は、内部資金の安定的な確保で賄うとの説明があったが、株主からすると増資される懸念がある。

機材発注はカタログ価格で1兆7000億円。実際の価格は守秘義務があり発表できないものの、大変有利な条件で発注できた。今回、新たに発注した70機の受領は2027年度までと長期間にわたり、年間は約1500億円程度で、現行の投資額と大きくかわらない。資金面の手当ては、国際協力銀行の保証制度を基にした金融機関からの借り入れや、リースの活用、社債発行などで対応できる。増資しなければ耐えられない資金額ではない。

――グループ会社のピーチとバニラで、パイロット不足に伴う大量欠航が発表されている。乗員不足にどう対応する?

アジアではLCCがたくさんできて、航空機も大量発注しており、パイロットの旺盛な需要とともに不足感も強まっている。ANAHDとして(ピーチやバニラについて)、独立した会社としてパイロットは自力で確保していただきたいというのが基本。ただ、指導層の派遣やグループの訓練会社を通じた支援はしていきたい。

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