最高益でも株主の目は厳しかった――。日立製作所は6月20日、株主総会を開催。出席株主は1356名、総会時間は1時間30分(前年は1403名、1時間41分)。議案は取締役全員の任期満了に伴う選任の1つのみで、承認された。
日立の足元の業績は絶好調だ。2014年3月期の実績は、売上高が前期比6.4%増の9兆6162億円。営業利益は26%増の5328億円で、1991年3月期以来、23期ぶりに過去最高益を更新した。牽引したのは、自動車関連製品の材料などの高機能材料部門、半導体製造装置などの電子装置・システム部門である。営業利益率5.5%についても、1991年3月期(同6.5%)以来、23年ぶりに5%を超えた。
が、総会では株主からの厳しい意見、質問が多かった。
「好業績が株価に反映していない」
「好業績だが、株価に反映していない」、「ライバルの独シーメンスと売上高は似ているが、利益率は低い」、「株価上昇の後押しをぜひやって頂きたい」などがそうだ。
それらの意見に対して東原敏昭社長は、「貴重なご意見と受け止めている」と回答。その上で、「日立グループが抱える課題を一つずつ解決し、2015年の中期経営計画の数値目標をきちっと対策する。7%超という利益率(の目標)は、グローバル・メジャー・プレイヤーと比べると低い。早く2桁の利益率を目指して、『確実に日立が成長しているな』と示すことが、株価を評価してもらえることだと思う」と述べた。
海外事業の売上高比率を現在の45%から15年度に50%超にし、グローバル・プレイヤーを目指す日立にとって、世界の米ゼネラル・エレクトリック(GE)やシーメンスは、どうしても気になる存在だ。GEは売上高約1460億ドル(約14兆円)、営業利益約169億ドル(約1兆7000億円)で、営業利益率が約11%。シーメンスは売上高約758億ユーロ(約10兆円)、税引前利益約58億ユーロ(約8000億円)で、確かに規模では日立をやや上回る程度だが、利益率となると約7.6%で、日立を大きく引き離す。こう比べると、GEやシーメンスの背中はまだ遠い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら