救急車が渋滞「英国のコロナ病棟」壮絶な現場 「変異種発生」で現場の風景は再び一変した

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「第1波の時のように外科業務を停止、縮小してスタッフをコロナ前線に招集をすることはない」と、看護部長からも明言をされた。しかしこの2週間後、突然、そしてあっさりと部長の言葉は覆された。

外科部の事務員たちは大量の「手術のキャンセルリスト」を渡されて、患者に1人ずつ電話をしてキャンセルを伝える業務に追われていた。患者も理解をしてくれるとは言え、辛辣な言葉や怒鳴りつける患者もいたようで、9人いる係全員が疲弊をしていた。

もともとイギリスのNHS(国民健康サービス)では、患者の待機手術は待ち時間が長いことで有名だ。特に膝や肩、白内障など、即座に命に関わるものではない手術は待ち時間が長い。さらに第1波時に待機手術の2〜3カ月ほどの停止命令が首相からでたこともあり、手術はさらに遅れている。

やっと回ってきた手術の予約を直前にキャンセルされる患者の怒りや不安は無理もない。しかし、その怒りを電話口でぶつけられる事務員たちは気の毒としか言いようがない。

前回より受け持つ患者の数は多い

私の招集先はコロナ感染内科病棟。患者の多くは呼吸不全管理を要する、いわゆる「中等症」状態にある。入院してくる患者はほとんど全員が酸素療法と点滴が必要となる。

ほかにも外科専門のコロナ感染病棟、ICUからステップダウンしてきた回復病棟など、コロナ病棟と一口にいっても患者の病状によって病棟は分けられていた。別の言葉で言うなら、分けなければならないほどコロナ感染患者であふれている。

病院中の可能なかぎりの病棟、部署を閉鎖してスタッフを1人でも多くコロナ前線に招集をした第1波とは違い、今回は、招集スタッフは限度が設けられている。例えば私の勤務先では、いわゆる不急部門でも50%前後の稼働率を守っている。前述したように、手術待ちの患者はただでさえ多いのだ。ここで完全に手術をストップするわけにはいかない。

つまり、コロナ前線に回されるスタッフは第1波の時のように潤沢ではない。コロナ感染病棟の医師、看護師、1人当たりにかかる負担は前回よりもグッと増えた。

例えば前回は、私の患者の受け持ちは4〜8人で、たいていは6人以下だった。さらに私のように内科以外の部署から招集されてきたスタッフはいつでも、急性期内科の経験ある先輩看護師のサポートが受けられた。

しかし、今回はそのような贅沢は言っていられない。受け持ち患者は8人を超えることもある。もはや私たちは「慣れない専門外の招集要員」ではなく、経験ありのスタッフとしてみなされているのだ。

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