ジム・ロジャーズ「S&P500への投資は損になる」 今後は何に投資すればお金が増えていくのか

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「1970年代、トウモロコシは295%上昇した。石油はなんと15倍上昇し、1バレル=40ドルになった。金や銀に至っては10年間に約20倍にもなり、その他たくさんの商品の価格が急上昇していたのだ。この時期は「株式の死」と言われたが、実は株は割安になっており、20年近く続く株の上昇相場が準備されていたわけだ。このように株式と商品は歴史的に一定のサイクルで入れ替わる傾向がある」

商品に投資することの意味とは?

現在、年齢が78歳のロジャーズ氏は非常に長い間マーケットを見ており、大局的な視点で市場を捉えています。相場の勢いや方向性を判断して取引をするモメンタム売買ではなく、中長期の投資を得意とするために、老後資金など長期運用をする人の参考になります。

ロジャーズ氏を10年以上取材している編集者が「なにか1ついい投資対象を教えてください」と聞いたところ、カフェで砂糖の小袋を取り出しながら「これだ。持って帰っていいよ」と言われたことがあるそうです。

たしかにアメリカの砂糖の代表的な指標である「11番先物」の価格は、ピーク時より、70%も安い状態です。しかし、2021年に入って反発してきているのでいい兆しが見え始めています。

こうした割安の状態のところでいい「変化」が見られる投資対象を探していくことが、投資で大成功を収める秘訣だとロジャーズ氏は繰り返し言います。

「仮にものすごく割安な時期でなかったとしても、ポートフォリオには必ずある程度、商品を組み入れておくことをお勧めする。商品投資は株式の下落相場やひどいインフレに対してだけではなく、深刻な不況に対しても有力なヘッジ手段となりうるのだから。今のような世界的バブルと過熱相場がいよいよ極まってきてついに破裂したときにも、きっとあなたを守ってくれるはずだ」

ロジャーズ氏は一般の人が投資をするなら、インデックスにすべきだと言います。また商品についても、「先物ではなく、インデックスファンドや上場投資信託(ETF)で投資をすればよい」と言います。

例えば、Invesco DB Commodity Index Tracking Fund (DBC)というコモディティーのインデックスやロジャーズ氏がプロデュースをしているETN(指数連動証券)や投資信託などもあります。商品をどの投資対象に何%とすればいいかわからない人はパッケージ商品を選ぶのも手かもしれません。

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