「ムーンライトながら」違和感大ありの廃止理由 利用客に「行動様式の変化」を促したのは誰だ

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「青春18のびのびきっぷ」(現在の「青春18きっぷ」)が発売されるのは1982年からであるが、その以前から大垣行き夜行は人気列車だった。その頃は周遊券が人気で、1975年の利用時も北陸周遊券を利用し、大垣行きで出発して米原経由で北陸地域へ入り、復路は大糸線・中央本線経由で東京へ戻っている。

国鉄からJRとなってからも人気の列車で、多客時には品川始発の臨時の大垣行き夜行が続行運転されるようになり、グリーン車の連結はないものの、定期列車よりは空いていた。車両は旧修学旅行用の167系などが駆り出された。

指定席券入手が困難な人気列車に、そして…

「大垣行き夜行」から「ムーンライトながら」となるのは1996年からである。愛称付きになったのは人気列車だからとかという理由ではなく、車両が特急「東海」や「ふじかわ」などのJR東海373系に変更、全席指定席となったためである。指定席販売には、列車を特定するために愛称が必要だったのである。

しかし、車両が373系となったことでグリーン車の連結はなくなった(373系にはグリーン車がない)。この時点で東京から小田原方面への通勤の役割はなくなり、東京から乗車するには指定席券入手が必要になった。全車指定席にする理由は、追加料金の徴収による増収目的ではなく、自由席に座りたい利用客が早い時間からホームに並ぶことを嫌ったのである。

編成は複雑で3両編成を3組連結した9両編成、1~3号車は大垣行きで名古屋まで指定席、4~6号車は大垣行きで小田原まで指定席、7~9号車は名古屋止まりで小田原まで指定席となった。そのため、仮に指定席が入手できなくても、先行する列車で小田原まで行けば、座れる保証はないものの小田原から自由席に乗車することはできた。

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