河野氏「ワクチン担当」起用に広がる疑問と不安 支持率急落で「ポスト菅」候補封じの思惑も

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というのも、河野氏は防衛相時代に陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の計画停止を自民党も含めた関係部署への根回しもなく発表し、混乱と激しい批判を招いた。

2020年9月の規制改革相就任直後に自ら設置した「縦割り110番」も、すぐさまオーバーフローとなり、約2カ月での中断を余儀なくされた。このため、自民党内では「単なる目立ちたがり屋」(若手)との批判も少なくない。

コロナ担当起用は「河野封じ」か

河野氏はコロナ担当に着任後、すぐさま任務遂行に走り出している。最大の焦点となる接種の具体的段取りなどについて、河野氏は20日のツイッターで「うあー、NHK、勝手にワクチン接種のスケジュールを作らないでくれ。デタラメだぞ」「新聞各紙が『政府関係者』なる者を引用しているけれど、全く根拠のないあてずっぽうになっている。信用しない方がいいよ」と書き込み、炎上現象を引き起こした。

厚労省は2月中旬のワクチン承認も視野に審査を急ぐ方針で、先行させる医療従事者(約1万人)への接種についても、公的医療機関を中心に準備を進めている。政府部内では65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人などを優先させ、一般国民への接種は5月以降にするとの見通しも公言されている。「河野氏の(ツイッターへの)書き込みが混乱の原因になる」(政府筋)との批判も出ている。

自民党内では今回の河野氏起用を政局絡みでとらえる向きもある。コロナ対応の迷走で菅内閣の支持率は下落に歯止めがかからず、自民党内にはさまざまな形での菅降ろしのうごめきが浮上している。河野氏起用もそうした動きに絡んで注目されたからだ。

各種メディアが実施する世論調査では、ここにきて必ず「次の首相にふさわしい政治家」という質問が設定されている。支持率急降下の菅首相を追い抜く形でトップ争いをしているのは石破茂元幹事長と河野氏だ。9月に予定される自民総裁選の最有力候補ともなりかねない河野氏を、自らの政権の命運を握るワクチン担当に指名した菅首相の思惑を「体のいい河野封じでは」(自民幹部)と勘繰る向きも少なくない。

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