300万円の壁を突破 日産EV“一撃”の波紋
日産自動車は、12月から販売する電気自動車(EV)「リーフ」の価格を発表した。補助金分を差し引くと実質299万円。先行するEVでは三菱自動車工業の「i‐MiEV」が321万円、富士重工業の「プラグインステラ」が334万円(いずれも補助金分を考慮)するだけに、思い切った値付けではある。
「開発当初からEVを広く普及させることを念頭に置いてきた。電池やモーター、インバーターなど基幹部品の内製化(電池は合弁会社で生産)でコスト引き下げに努めてきた」(志賀俊之・日産COO)。同等規模のガソリン車と比べて60万円近く割高だが、電気代が圧倒的に安いため、「6年間乗ったときの総支払額はガソリン車とほぼ同じ」(志賀COO)と強調する。ただ、日産はさらに安くする方法もあった。
刷新時の価格が見物
「リーフは車体のみを販売し、電池はリースにする」。
カルロス・ゴーン社長は昨年から、機会あるごとに分離分割構想を強調してきた。同方式ならば、車体価格はガソリン車のプラス2~5%以内の差に収まるとはじいていたが、結局は実現に至らなかった。
というのも、車両保有者が2人(車体はユーザー、バッテリーは日産)になると、車検責任がどちらに帰属するかなどの判断が難しい。「電池だけを売買する商習慣が根付いていない」(片桐隆夫常務執行役員)というハードルも予想以上に高かった。