人が大きな舞台に立つとき
連載の最後に、筆者の申し上げたかったことを少しだけまとめておきます。筆者が見たところ、仕事をしていると3回くらい、人は大きな舞台に立つときがあるようです。空から美少女や美男子が降ってきて物語が始まったりはあまりしませんが、それくらいの転機は来ます。
それは不祥事や倒産といったときにおいて、人の器が試されるときかもしれませんし、あなたに責任ある立場がオファーされたときかもしれません。ただ、多くの人は、能力的な準備ができていなかったり、家族や住宅ローンのようなしがらみがネックとなって、自分が正しいと思う方向に飛べないことが多いものです。チャンスが来ても打席に立たない人がほとんどなのです。
誰もがオリジナルの人生なので、何が幸か不幸かは死ぬところまでやってみないとわからないとは思います。仕事には不可分なおカネの話もどこかで折り合いをつけないと不幸になるでしょう。おカネで人の価値をどうこういうのは貧相な考えですし、ネズミとカマドウマが遊んでいるような家でも、家族みんなが幸せな家はあるものです。
世の中にはヘッジファンドのルネッサンステクノロジーのジェームズ・シモンズ氏(元数学者)のように年収2500億円の人もいますが、彼が幸せかどうかは彼にしかわかりません。路上ではビッグイシューの販売者の方が、「増税で350円に値上げしてごめんね、オレのせいじゃないんだよ」と言っています。
世の中いろいろ、みんな違っていいのです。生きていくうえでおカネの問題は難しいですが、筆者は後輩に居酒屋でおごれたらいいなと思っています。ちなみにキャリア相談的には、「ここを辞めて外に出ればもっともらえる」と社内で言う人に限って大成しませんし、転職もしません。
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