トランプがこうも「キューバ」を痛めつける理由 退任直前にキューバをテロ再び支援国家に指定

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ところが、1999年にベネズエラでウーゴ・チャベス政権が誕生すると、反米主義を掲げるチャベス大統領は安価な原油を提供することで近隣諸国を味方につけていった。その1つがキューバである。両国は貿易関係を構築するが、今度は原油価格が下落し始め、ベネズエラ経済が行き詰まってしまう。これにより、キューバも再び苦境に立たされることになる。

こうした状況下でアメリカのオバマ前大統領は、キューバとの国交正常化へ動き出したのである。オバマ大統領はまず、ローマを訪ねてフランシスコ法王にキューバとの国交回復を希望していることを伝え、支援を要請した。それに早速応えた法王はキューバのカトリック教会を動かしラウル・カストロ国家評議会議長に接近して、アメリカが国交の正常化を望んでいることを伝えた。

そして2014年12月17日、51年の時を経て両国の国交は再び正常化に向かうことが発表されたのである。そして翌年5月にキューバのテロ支援国家指定を解除され7月に国交が回復した。

それ以後、アメリカからの観光客は急激に増え、アメリカとカナダから年間で80万人が訪問するようになっていた。これに伴う観光収入も拡大。観光業が発展するにつれてレストラン、カフェテリア、1950年代の車を利用したタクシーなどの個人事業者も増えていった。多くの公務員は月給30ドル程度なのに対し、タクシーだと1時間で30〜50ドル稼げるということでタクシー事業主が増えていった。

ところがオバマ政権が終了して2017年にトランプ大統領が就任すると、トランプ大統領はカストロ政権下でのキューバへの支援は一切行わないという姿勢を打ち出すのである。キューバとの取引が進展すればするほど、キューバの軍人を潤すだけだとして逆に可能なかぎり制裁を課していった。

キューバに存在している事業の60%はガエサ(GAESA)という組織に属しており、その幹部は軍人が占めている(同組織の最高責任者はラウル・カストロの娘婿ルイス・アルベルト・ロドリゲス将軍である)。

トランプ大統領はガエサを締め付けるために、ヘルムズ・バートン法を適用してキューバ革命でカストロ兄弟によって没収された企業や私有財産の賠償を求める訴訟を、アメリカに移住した家族が起こすことができるとした。しかし仮に訴訟を起こしてもキューバ政府がそれに応えられるだけの資金はない。むしろ、この本筋はアメリカや外国からのキューバへの投資を控えさせようとする狙いでしかない。

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