マンション全戸「トイレ一斉使用」何が起きるか 配管が詰まったり、あふれたりしないのか??

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では、便秘症の人の何日もかけて硬くなった大きなウンチが配管に詰まることはないのだろうか。わざわざ大手不動産会社にまでやってきて聞くことか、と思わないでもないが、知りたい。

室長は、この質問にもズバリ答えてくれた。「現状、つまったという話は聞いたことがありません。それも、やはり、竣工前にテストをくり返します。どんなテストかというと、上層階のトイレからおしぼりタオルを流します。それを下で受け取れれば問題はありません。TOTOさんでも、LIXILさんでも、日本のメーカーのトイレはすぐれているので、タオルくらいは問題なく流してしまいます。ただし、これははっきりと申し上げますが、トイレには排泄物以外は流してはいけません」

配管はつまったりあふれたりしない

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配管内を排泄物は下へ流れ、臭いは屋上へ向かう。「マンションの屋上へ上がると、キノコのような傘をかぶせた通気口があります。傘で蓋をしてはいるものの、近づくと、きつい臭いを感じるはずです」

これは、トイレの配管の空気の取り入れ口なのだそうだ。配管に空気を取り入れないと、水が下に落ちていかないのだという。

結論としては、ビルやマンションのトイレの配管はつまったり、あふれたりはしない。ただし、それはあふれないように設計されているからではなく、あくまでも確率に委ねた結果論だ。くれぐれも全住民一斉に流さないでいただきたい。

(文:神舘 和典、西川清史)

神舘 和典 ジャーナリスト

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こうだて かずのり / Kazunori Koudate

1962(昭和37)年東京都生まれ。音楽をはじめ多くの分野で執筆。『墓と葬式の見積りをとってみた』『ジャズの鉄板50枚+α』『25人の偉大なジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』など著書多数。

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西川 清史 文藝春秋前副社長・編集者

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にしかわ きよし / Kiyoshi Nishikawa

1952(昭和27)年生まれ。和歌山県出身。上智大学外国語学部仏語学科卒業後、77年文藝春秋入社。「週刊文春」「Number」編集部を経て「CREA」「TITLe」編集長に。2018年副社長で退職。

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