「日本脱出」が早ければ早いほどいい理由 海外経験は「筋トレ」と同じようなものだ!

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海外経験は筋トレと同じようなもの

イベントでは、船橋力氏や田村耕太郎氏による、力強く、示唆に富む講演も行われた。まず、「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」の船橋氏は、やはり早い段階での海外留学経験を持つことの強みを語った。

「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」というプログラムには、日本からの留学者を倍増させるという目標と、早い段階での身をもっての海外経験が「力」になるという理念がある。それを象徴するように、このプログラムは大学生のみならず高校生にも門戸が開かれる予定らしい。

また、海外経験は筋トレと同じようなもので、初めはストレスや不安があっても徐々に慣れていくもの。少しずつでもいいから続けてほしい、と話した。海外経験、継続して外国に接触していくことを勧め、学生たちに“トビタツ”ためのエールを送った。

田村氏は、今後、日本が背負うあらゆるリスクを分析し、「近い将来は日本にとって大変な時代になる、どこでも戦えるオプションを持て!」と、厳しくも愛のある激励をした。

また、同氏は講演の中で、成長の3条件として、①自分よりデキるやつらに囲まれよ、②失敗できる機会を持て、③とにかく責任を与えられよ、の3つを挙げた。そして、この3つをクリアするためにも、自分を他と差別化し、自分にしかできないものを持つよう、学生たちへ強く勧め、早い段階から世界へ出ること、大学から、いやもっと極端な例を挙げれば義務教育課程から、留学していく子供たちが増えることの必要性を強く説いたのであった。

ちなみに田村氏は、今年からシンガポール国立大学へ転籍するため、拠点を移す。これは、彼の愛娘の教育にとってもすばらしいことだ、とこっそり語ってくれた。余談だが、厳しい世界を生き抜いてきた彼が、プライベートでは父親の顔になるのを見るのが、最近の筆者の楽しみでもある。

「日本人がみんな出て行っちゃったら、大変じゃない?」

 やはり、留学には、できるかぎり早いタイミングで行ったほうがいい。もちろん、事情によるところもあるが、一般論としてこれは当てはまるのではないだろうか。

私は、自分が留学を経験してから、あらゆるところで留学経験の貴重さ、またより多くの日本人が海外へ飛び出していくことの重要さを自分なりに主張してきた。

「日本人がみんな出て行っちゃったら、大変じゃない」

しばしばそう言われたが、これは論理のすり替えだ。よほどのことがないかぎり人の志向は変わらないのだから、勧めたところで実際に行動を起こす人は少数だろう。

しかし一方で、そんな小さな一歩が、いずれ大きなムーブメントになる可能性をわれわれは知っている。アベノミクス、東京オリンピック、ここのところ景気がいいためか、なんだか今の日本には外へ飛び出していかなければならないという危機感が薄いように感じる。しかし、田村氏が言うように、日本を取り巻く根本的な問題は根深く、ちょっとやそっとで状態が変わるとも思えない。

日本の若者には、十分なチャンスがある。「トビタテ!留学JAPAN」のような動きもそうだ。今こそ、未知の世界へ冒険に出てはいかがだろうか? 月に行ったら、見えたのは地球だった。これと同じように、きっと日本のことも、より深く理解できるようになるはずだ。

 

イベント後の集合写真
石崎 弘典 インド進出コンサルタント

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いしざき ひろのり / Hironori Ishizaki

東京大学文学部フランス語フランス文学専修卒業、米国公認会計士試験合格。
在学中は休学して、パリ大学ソルボンヌに留学、音楽を中心にフランス文化を学ぶ。
現在は、インドの大手会計事務所に勤務し、日系ほか外資企業のインド市場進出支援を、税務・法務・財務の観点から行っている。インドビジネスに関する知識を活かし、メガバンクなど(みずほ、政策投資銀行)が発行するビジネスジャーナルへの寄稿、また政府系機関(JETRO)や外資系銀行(HSBC)などが主催するセミナーへもスピーカーとして登壇している。本業の傍ら、横浜シンフォニエッタ(オーケストラ)の海外事業アドバイザー等、芸術と社会をつなぐエージェントとしても活動している。
 

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