「ファッションのコンビニを目指す」 ジーユー・柚木治社長インタビュー
[東京 17日 ロイター] - ファーストリテイリング <9983.T>グループの低価格カジュアル衣料ブランド「ジーユー」(東京都港区)の柚木治社長は17日、ロイターとのインタビューで、2015年以降に香港・韓国・東南アジアへ出店する構想を明らかにした。また、アジアでの展開が上手くいけば、数年内に欧米へ進出したいと述べた。
ジーユーは、ブランド誕生から約7年となる13年9月に中国・上海に海外1号店を出店した。今年秋には台湾に2店舗をオープンする予定。今後の海外展開について、柚木社長は「中華圏とアジアに広げていく。2015年以降に香港・韓国・東南アジアに出店する」と述べた。そのうえで、これらアジア圏での店舗が「うまくいけば、数年内に欧米に広げたい」と語った。
アジア展開の成功をどのように図るのかという点については「最低数十店舗を出し、十分な利益率には時間がかかるかもしれないが、少なくとも黒字化していく。ジーユーは他のブランドとどう違うかを明確にして、業態として確立させ、利益を上げる」とした。日本では3年間は赤字だったという。
ジーユーは、進出した地域において、海外ブランドで最低価格を目指すという。
海外1号店となった上海は「日本よりもトレンドファッションが売れる比率が高い」という。このため、店舗規模は標準店ながら、日本の大型店の商品も入れ、商品の回転を速くするなどして対応している。
14年8月期末には275店舗となる国内店舗数については「今の2倍は出せると思う」と述べ、550店舗までは出店余地があるとの見方を示した。
生地も現地調達へ
ジーユーの13年8月期は売上高837億円、営業利益76億円。14年8月期計画の詳細は開示していないものの、売上高1000億円以上を掲げている。
アジアの中間層拡大で「ジーユーは大いに成長のチャンスがある」とし、売上高1兆円も「可能性はある」とした。柚木社長は「低価格の服は景気動向を超越している。消費者は、安い服を賢く着ることをマスターしている」と指摘する。
売上高が順調に拡大する中、 利益率の向上が課題となっている。柚木社長は、利益率向上の施策として、値引きを減らすこと、地域限定社員の導入などで中長期に雇用を安定させること、原価を下げることなどを挙げた。原価引き下げについては、縫製を中国以外にもインドネシア、バンクラデシュ、カンボジアなどに分散させているほか「生地も現地で調達する。今秋冬から取り掛かる」とした。
また、売上高が1000億円を超えてくることで「生産は1億点をを超えるため、安さだけでなく、量の確保が課題となる。安さ、ボリューム、納期の3拍子をそろえなければならず、課題となってくる」と指摘した。
ファッションのコンビニを目指す
「ファッションのコンビニエンスストアを目指す。あらゆる人が気軽に買うことができ、大人気商品が揃っている」。コンビニは、店頭に並べる商品数を絞り込み、人気商品への入れ替えを頻繁に行う。また、生活必需品や定番アイテムと旬のアイテムが両方揃っている点などを挙げる。
ベーシックなユニクロの廉価版ではなく、ファッション性を取り入れることで急成長を実現したジーユー。柚木社長は「日本発のファストファッションはニーズがあるのに、誰もやっていなかった」と、足元の成長を振り返るとともに、欧米のファストファッションとの違いも強調する。「今、年間アイテム数を2000から4000に増やそうとしている。もっと増やそうと思っているが、1万にはいかない。欧米のファストファッションのように数万にはしない。トレンドの入れ具合がちょうどよい、絶妙なバランスにしたい」と話す。
ジーユーは18日、渋谷パルコ店をオープンする。最もユニークなのは、ジーユーの服を試着したまま渋谷の街に出て、着心地を確認したり、他店でのショッピングやコーディネートができる試着サービス。
6月中の期間限定のトライアルだが、消費者の反響を聞きながら、継続するかどうか、他店に導入するかどうかなどを検討する。ユニクロにはない、冒険心のある取り組みと言える。
世界展開する衣料ブランドは、主力ブランドよりも格安な第2・第3のブランドにも力を入れている。「ZARA」を運営するスペインのインディテックス
14年2月末現在、国内外ユニクロ1383店舗に対し、ジーユーは250店舗で、ファーストリテイリングは、第2のブランドへの対応が遅れている。柳井正会長兼社長は、ジーユーをユニクロに次ぐ第2の柱と位置付け、成長を加速させている。
(清水律子、金昌蘭 編集 内田慎一)
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