日本の水際対策が「超絶甘すぎる」と断言する訳 海外からのコロナを国内で広げない策は十分か

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違反者への罰則が可能な法整備も早期に必要という声も上がっている。いずれ感染者数が減ってくれば再び外国人の入国が増加する局面も来る。入国後14日間の待機についてのルール違反をした場合に罰金を科す、外国人ならビザを取り消す、国外退去させるなどの厳しい措置が必要であり、すぐにでも議論する必要があるだろう。

閑散とする成田空港第2ターミナル出発ロビー(1月上旬、筆者撮影)

幸いにも日本は島国であり、入国者の大半が空港から入国するため水際対策を行いやすい環境にある。にもかかわらず、今のお粗末な水際対策では、後世に禍根を残す事態となりかねない。

PCR検査免除で入国していたケースも

筆者は昨年12月に何度か成田空港で取材をしたが、到着ロビーには外国人の姿が多く見られた。母国に一時帰国していた留学生が日本に戻ってきたり、長期滞在ビザ保有の外国人が到着したりしたケースなどが多かったようだ。

日本政府観光局(JNTO)が発表した昨年11月の訪日外国人数は前年比97.7%減の5万6700人。このうち最も多かったのは中国人の約1万8100人、次にベトナム人の約1万4700人となっている。昨年11月の日本人の出国者数は約3万0700人で外国人の入国者のほうが圧倒的に多い。

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一方、昨年10月30日からは感染症危険レベルが「レベル2」に引き下げられた韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国(香港、マカオ含む)、ブルネイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドからの入国者について、14日間の待機や公共交通機関を使わないルールはありながらも、最近まで日本到着時のPCR検査が免除になっていたことはあまり知られていない(現在はPCR検査が再度必須になった)。

島国で入国者の管理ができる以上、世界的な蔓延が収まるまではすべての入国者に対しての空港でのPCR検査を行わなければ、水際対策にならない。今一度、「水際対策」という言葉の意味を噛みしめたうえでの、厳格なルールの策定と徹底した運用が求められている。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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