日本の水際対策が「超絶甘すぎる」と断言する訳 海外からのコロナを国内で広げない策は十分か

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イギリス・南アフリカからの入国についてはさらに厳しい。日本に到着後、空港で検査を受けた後、陰性の場合でも入国後に検疫所が確保する宿泊施設で待機となる。入国後3日目(入国日を含まず)に再度検査を受けて陰性と判定された段階で宿泊施設を退所し、その後は検疫所長が指定する場所で入国後14日間待機となる。

検査証明書がない場合には、入国後3日目の検査に加え、入国後6日目の検査も必要で、いずれも陰性だった段階で宿泊施設を退所し、その後は検疫所長が指定する場所で入国後14日間待機となる。

イギリスから帰国の男性が健康観察中に会食

今回の水際対策が強化される前、防ぎようがあったはずの日本へのコロナ変異種の侵入を水際で食い止められなかったという残念な事態が起こった。12月22日にイギリスから帰国した男性が導火線だ。この男性は羽田空港に到着した時点では、PCR検査が陰性だったことから入国。帰国後14日間は健康観察の期間として検疫所長が指定する場所で待機する必要があったが、その期間中に会食したのだ。会食した人数は合わせて10人にのぼった。

その後、この男性の新型コロナへの感染が確認されただけでなく、男性と会食した10人のうち、都内在住の男女2人がイギリスで流行しているコロナ変異種に感染していたことが明らかになった。男性が「検疫所長が指定する場所で14日間の待機」という国の要請を守らず、しかも感染リスクの高い会食の場に参加したことが、コロナ変異種を水際で食い止められなかった要因になったことは疑いようがない。

これに限らず、日本の「水際対策」はそもそも緩み切っていた。

昨年4月以降、羽田空港、成田空港、関西国際空港などにおけるPCR検査は鼻の粘膜で採取する方式を採用。海外からの入国者・再入国者・帰国者については、PCR検査の結果が出るまでの間は国が確保した宿泊施設で1~2泊の待機が必要だった。入国者のほとんどが宿泊になったことで、待機や公共交通機関の不使用などについての説明をしっかり受けたことに加えて、日本国内も自粛モードになっていたことで、しっかり守られていた。

鼻の粘膜でのPCR検査を実施していた際の成田空港での光景(昨年6月、筆者関係者撮影)
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