ゴーンの右腕が法廷で吐露した「痛恨の汚点」 日産の元COOが明かしたカリスマ経営者の圧力
午前10時から始まり、午後5時までに及んだ証人尋問で印象的だったのは、被告人であるケリー氏の名前が尋問でなかなか出てこなかったことだ。ようやく、その名前が出てきたのは閉廷が迫った午後4時14分。「CEOオフィス」の担当役員を聞かれ、志賀氏が「ケリーさんです」と答えたときだった。
この日の公判は、ケリー被告の証人としてではなく、“ゴーン被告”の証人として話していたかのようにも見えた。ただそれは、20回以上続いた大沼氏の証人尋問でも同様だった。異常なまでに報酬の情報開示を嫌がったというかつての右腕の証言が、レバノンに身を置くゴーン氏の耳に届いた時、ゴーン氏は何を思うのだろうか。
専門家たちが指摘する疑念
なお、役員退職慰労金制度を廃止していた日産自動車において、将来の役員報酬の確定には取締役会決議が必要というのが、東京大学の田中亘教授など会社法の専門家の間での常識だ。
報酬が確定していなければ有価証券報告書に記載する義務はないが、これまでの証人尋問で取締役会決議の存在は確認されていない。また、ゴーン氏に将来の支払いを約束したとする「合意書」は、両者のサインがどちらもゴーン氏となっており、合意書の体を成していないことが、大沼氏への証人尋問で明らかになっている。
それでも日産の有価証券報告書虚偽記載罪は成立するのか。大沼氏よりも先に検察と司法取引をしたハリ・ナダ氏への証人尋問は1月14日から始まり、2月まで続く。公判自体は7月までの計76回を予定。1月12日時点でまだ29回と折り返し地点にすら到達していない。また、判決が年内に出る可能性は低く、2022年にずれ込むという見方もある。
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