ゴーンの右腕が法廷で吐露した「痛恨の汚点」 日産の元COOが明かしたカリスマ経営者の圧力

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「ハナワ」とは、塙義一・日産元会長(故人)のことである。仏ルノーと日産の資本提携を決めたときの日産の社長だ。

志賀氏は「私はルノーとのアライアンス交渉の初期から関わっていた。当時、ゴーン氏を日産の社長として迎え入れる際の条件を協議していた。報酬額は承知していないがそういう約束はあるのだろうとも思った」とする一方、「『塙さんとの約束がある』とゴーンが言ったのは詭弁だろうと思った。塙さんの話が出てきたのはそれ一回きりだ。言われた瞬間に詭弁だと想像した」とも語った。

1999年の再建プラン発表で握手を交わす、塙義一氏とゴーン氏(撮影:梅谷秀司)

このゴーン氏の発言を志賀氏は「(本来は受け取るはずだった)得べかりし報酬額と実際の報酬との差額を、開示せずに受け取れる方法を考えろという指示だと思った」という。

そこで冒頭の言葉を志賀氏は口にした。「(ゴーン氏に対して)『そうすべきではありません』と言うべきなのに結果的に指示に従ってしまった。深く反省している」。不正に近いとの認識が持ちながら、ゴーン氏の圧力に屈したことが、志賀氏にとって「痛恨の汚点」というわけだ。

ゴーン氏の要望に3つの選択肢を用意

結局、志賀氏は大沼秘書室長にゴーン氏の要望が実現できる複数の案を考えるように言った。大沼氏から出てきたのは、①在任中にインセンティブとして確定させた金額を退任後に支払う方式、②退職時に特別慰労金として支払う方式、③退任後は相談役に就任してもらい相談役の報酬として支払う方式の3案だった。

志賀氏はどれも報酬開示制度に違反していると感じていたが、報酬そのものを支払ううえではどれも「法的に問題ない」として、ゴーン氏に②を推した。2011年3月のことだという。ゴーン氏は即座に「③がいい。私が競合他社で勤務しないようにするための金だ」と言った。

その後、ゴーン氏の報酬の話は立ち消えになったかのように、「カルロス・ゴーンと報酬の話をしたことはない。提案書を提出したままで止まっていた」と志賀氏は思っていたという。

だが、その後もゴーン氏の役員報酬は10億円ギリギリ。この間、日産はリーマンショックや東日本大震災の影響を脱して業績が上向いていた。「業績に連動しているならば10億円を超えていてもおかしくないのに」と志賀氏は不思議に思っていたという。

ケリー氏の弁護人による反対尋問で、喜田村洋一弁護士にゴーン氏の人物像について聞かれると、志賀氏は「いくつかのステージで印象が変遷しています」と応じた。

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