北朝鮮・金正恩の実妹はなぜ昇進しなかったか

党大会で降格人事だが将来の復帰可能性も大

しかし、今回昇進しなかったからといって、金与正氏の権力が弱まったとみるべきではないという分析が多い。韓国・経済社会研究院のシン・ボムチョル外交安保センター長は「今回の党大会は金委員長の地位を内実ともに高めるためであり、その過程で金与正氏を一時的に身を引かせたものではないか。いつでも彼女は再浮上できる」と見ている。

党政治局の中枢である常務委員会の人事では、81歳と最高齢で内閣総理をも務めた朴奉珠(パク・ポンジュ)氏が引退し、それまで候補委員だった趙勇元(チョ・ヨンウォン)党組織指導部第1副部長が常務委員となった。党序列20位前後だった候補委員から、序列5位にまで一気に昇進した。趙氏は、党中央委員会書記、党中央軍事委員会委員にも任命された。

金委員長の“カバン持ち”が急浮上

金委員長の現地指導や視察の際には必ず同行していた趙氏の抜擢人事は、党体制整備と金委員長の地位強化を目指す今回の党大会を象徴する出来事だ。韓国・慶南大学極東問題研究所の林乙出(イム・ウルチュル)教授は、「指導部の世代交代とともに、対米関係と経済建設という2つの課題を抱える金委員長が実質的な成果と業績を積むことに注力しようとしている」と指摘する。

外交・安保政策では、対南問題を総括する金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長は党書記になれず、党部長にだけ名前を残した。これは、北朝鮮が対南担当の書記をなくし、部長だけを置いたことになる。北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、「対南担当の書記を置かないことで、韓国を担当する党の機能が相当弱まったとも言えるが、今後、金与正氏がそれを担当することを念頭に置いている可能性がある」と見ている。

対南政策を担当していた崔善姫(チェ・ソンヒ)外務省次官は党中央委員会委員から候補委員へ降格となり、対中外交を担当していた金成男(キム・ソンナム)党国際部第1副部長が党中央委員会部長に任命された。李善権(リ・ソングォン)外相は政治局候補委員の座を守った。
(韓国「ソウル新聞」2021年1月12日)

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