北朝鮮・金正恩の実妹はなぜ昇進しなかったか 党大会で降格人事だが将来の復帰可能性も大
北朝鮮の朝鮮労働党第8回党大会で党中枢の人事が行われたが、下馬評では昇進すると予想されていた金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が、昇進どころか現在の党政治局候補委員という地位も失ったことがわかり、その背景に関心が集まっている。
権力中枢の常務委員になれなかった
今回の党大会で総書記となった金正恩(キム・ジョンウン)委員長の実妹であり、国政の全般に関与していると金委員長の最側近とも見られている彼女は、大会前までは権力中枢の党政治局常務委員になると予想されていた。今回、党部長職にも就かず、党中央委員会委員としてのみ名前を残した。とはいえ、今回の人事で彼女の政治的立場が弱まったとみるのは時期尚早だと、専門家の多くは見ている。
2017年に政治局候補委員となった金与正氏は、2018年に行われた3回の南北首脳会談では金委員長を補佐したことで、大きく注目されるようになった。2019年末からは党第1副部長として対南(韓国)事業を総括してきた。2020年6月、南北共同連絡事務所を北朝鮮が一方的に爆破したときには韓国と真っ向から対立する一方で、アメリカとの問題にも積極的に関与してきた。
こういった役割と立場を考えると、今回の党大会で金与正氏は昇進すると韓国の情報機関は予測しており、さらに常務委員にまで昇進するとの見方も一部ではあった。今回の党大会では、執行部が座る壇上の席にも着いていた。