在宅で企業が買うWebサービス作った3人の稼業 個人開発の実践者に聞くマネタイズのヒント
課題は掲載するカフェや図書館の情報をどうやって集めるか。当初は自身でネット検索して掲載したが、その後は「スクレイピング」という、ネット上から自動で情報を取得する技術を導入。情報を提供してくれる人も増え、ユーザー増加につながった。
次第に、自分が知らないうちに、カフェの情報が掲載されるケースが増えていったという。「サービスが開発者の手を離れ、一人歩きした感覚で嬉しかった」と振り返る。
サイトの広告収入を伸ばすことを狙ったが、限界があった。そこで目をつけたのが地図会社。地図会社はユーザーに地図に関連する役立つ情報を提供しており、電源やWi-Fi環境の情報を毎月定額で販売する契約を結んだ。ただ広告と地図会社からの収入では生活には不十分だといい、今も受託開発を続ける。
古川さんは、以前にくらべて個人によるWeb開発はしやすい環境になったと指摘する。「課金や広告を実装する開発ツールが以前より増えたほか、ユーザーがオンラインでお金を払うことにも抵抗感が薄れてきた。ただ競合サービスも増えやすくなっており、どこまで無料にして、どこから課金するかなどバランス感覚が求められる」という。
また、個人開発の際に重要なことは「機能を広げすぎないこと」だともアドバイスする。モバイラーズオアシスも、会員登録機能などはあえて搭載していない。「個人でWebサービスを開発すると、運営も収益管理も全部1人でやらねばならず、リソースが足りない。いかに余計なことを省いたうえで、ユーザーに価値を届け続けるかが問われる」。
顔が見えるサービスを作りたい
前出の入江さんも古川さんもプロのエンジニアだが、イチからプログラミングを学んでWebサービスを開発し、マネタイズを果たした人もいる。かしいさん(仮名、29歳)だ。
もともと外資系ITコンサルティング会社で働いていたが、業務用システムを扱う仕事で、Webサービス開発は未経験。プログラミングのスキルもなかった。「もっと使っている人の顔が見えるサービスを作りたい」とWebサービス開発に興味を抱いていたころ、趣味だったお笑いライブの検索サイトが突然閉鎖。「それならプログラミングを学び、自分で同じようなサービスを開発してみよう」と考えた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら