都道府県別の感染状況はどうか。NHKがまとめている「直近1週間の人口10万人当たりの感染者数」(1月7日まで 人口は総務省人口推計2019年10月1日現在)を見ると、東京都が61.87人で最多となっている。以下は神奈川県38.26人、栃木県32.37人、宮崎県31.78人、大阪府29.74人、千葉県29.08人、埼玉県28.63人の順。上位に緊急事態宣言発令の1都3県や大阪府が入っている。
コロナ感染拡大防止対策では、人の移動を制限することが必要とされているが、東京を舞台とした人の移動は驚くほどの数だ。その最たるものが通勤・通学者数である。
東京都のHPに掲載されている2015年の国勢調査をベースにした通勤・通学者数を見てみよう。東京都内に在住している人で見ると、都内に通勤・通学している人は739万8000人。都外へ通勤・通学している人が50万1000人。合計で789万9000人が通勤・通学で移動しているわけだ。
これに都外からの通勤・通学者が290万6000人いる。東京を中心とした通勤・通学者の総数は1080万5000人となる。この流れを大きく制限しない限り、感染拡大に歯止めはかからないだろう。
一極集中は変わるのか
昨年は、コロナ禍での大きな災害に見舞われずに済んだことがせめてもの救いだったが、今年はどうなるかわからない。1日も早い一極集中是正に向けた政策の実施が望まれる。
先の日本世論調査会の調査に「一極集中是正に有効な政策」という設問があった。回答が多かったのは以下の通り。
② 子育て世代が地方移住しやすい環境整備
③ 東京と地方の賃金格差是正
④ 地方のIT環境整備
⑤ 国の機関の地方移転
どれも必要かつ有効な政策だが、現実は遅々として進んでいない。
本社移転に関しては、国土交通省の「企業等の東京一極集中に関する懇談会」の資料によると、東京にある上場企業375社を対象にした調査で「検討していない」が74%だった。
地方の環境はどうか。どの自治体も企業誘致や移住者受け入れには熱心だが、雇用環境は十分とは言えない。有効求人倍率はコロナ禍で大きく低下している。2020年1月に1.49倍(全国)だったのが、10月は1.04倍まで下がった。沖縄県0.66倍、神奈川県0.75倍など14の道県が1倍を切っている(10月)。移住先として人気の山梨県も0.95倍だ。地方に関しては、閉鎖的な土地柄がネックとなるケースも少なくない。
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