「緊急事態宣言」で東京一極集中に高まるリスク さまざまな策が練られているが進んでいない

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

賃金格差は、物価水準との比較もあるので単純ではないが、最低賃金を比較すると最高は東京の1013円。最低は沖縄県、秋田県など7県の792円。1.28倍となっている。

IT環境整備については、徐々に進んでいるが、地方での環境格差が大きい。筆者が毎年訪れる北海道のある地方では、ちょっと市街地を外れるとWi-Fiがつながらない。ある民間通信企業の調査(2018年)によると、Wi-Fi設置数が最も多い東京(2万3990)と最も少ない高知県(862)の格差は27.8倍だった。

国の機関の地方移転に関しては、消費者庁の一部が徳島県に移転した他は、文化庁の京都移転などごく一部の移転が予定されているのみ。その文化庁の移転も当初の2021年度に間に合わず、2022年度以降にずれ込む見通しだ。

一極集中の是正は進みそうにない

残念ながら、こうしてみると一極集中の是正はなかなか進みそうにない。先の世論調査でも「コロナ禍を機に一極集中が緩やかになるか」との問いに76%が「穏やかにならない」と否定的な回答を寄せていた。これが現実である。

画像をクリックすると、長期戦の様相を呈してきたコロナ禍の今を追う記事一覧にジャンプします

一向に進まない一極集中是正を尻目に、一極集中リスクは高まる一方だ。進行中のコロナ禍に加え、大規模な災害や新たな感染症はいつ襲ってくるかわからない。

国民の安心・安全と国の未来を考えるのが国会議員や官僚の仕事。一極集中・地方創生実現に向けた明快なビジョンと、誰もが納得できるような工程表を国民に示すべきだろう。こんな危機的状況下にあるにもかかわらず、国会が閉会中とは、信じがたい話である。 

山田 稔 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログでは、最新の病状などを掲載中。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事