日本に「GAFA」級の企業が生まれない根本原因 「よそ者」の力がベンチャー立国には不可欠だ

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日本に30年以上滞在している筆者もその一人だ。1990年代前半、「日本はどこにでも公衆電話があるから携帯電話を持つ必要がない」と携帯電話を自慢する香港の友人を相手に話したことがある。

ここ数年も、「キャッシュレス決済がなくてもPASMOがあれば特段な不便も感じない」など持論を曲げなかった。今回のコロナ禍で、「いつのまにか日本はこんなにデジタル後進国」になってしまっていたと気づかされた。

また、アメリカや中国をみると、スタートアップ企業を立ち上げるのは、大学生をはじめとした若者が主役だ。一方、日本の就職市場では、コロナ前のここ数年、基本的には売り手市場だった。

優秀な大学生は東証一部上場の大企業に入社したら、社会的あるいは経済的にも比較的安定的な地位を手に入れられる。そのため、自分で会社を設立するという冒険をする必要がない。

足元では、官民や大学などを中心に、スタートアップやベンチャー企業を育成するさまざまな組織や団体が雨後の筍のように急増し、ハードとソフトの両面から、スタートアップ企業を支援する環境が整備されている。

それでも、ある大学の産学連携の関係者によると、至れり尽くせりのサービスを用意しているにもかかわらず、大学教員や学生の間では、起業をしようと手を挙げる人が依然少ないという。

各地で開催されているスタートアップ企業のピッチイベントでは、お祭りか学園祭のようにパーティー感たっぷりのものばかりが目立っており、創業という真剣さがまるで伝わってこない。

移民がイノベーションの原動力

では、このような閉塞感を打破し、日本でスタートアップ文化を発展させるには何をしたらよいのか。その一つの突破口は、在日外国人による起業を支援することだと筆者は考える。

アメリカは「人種のるつぼ」と言われるほどの移民大国なので、異なるカルチャーとチャレンジを受け入れる土壌がそもそもある。GAFAをはじめとしたビッグ・テック企業もインドやロシア、中国系移民から優秀な経営人材やエンジニアを数多く受け入れている。移民がイノベーションの原動力となっているのだ。

近年、ハードウェア系のスタートアップの聖地として注目されている深圳も同じだ。数十年前の深圳はただの漁村だったが、1980年の経済特別区の設置を契機に、全国からさまざまな人材がなだれ込み、既存の産業がなかったことも手伝って、ベンチャー企業を立ち上げる最適地となってきた。

当初、深圳に移民してきた人々は、政府や国有企業を飛び出し、すべてを投げ出して深圳で成功してみせるといったハングリー精神が旺盛な者が多く、華為(ファーウェイ)はその典型的な企業の一つだった。

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