湯浅:できない子の補習じゃないんですか?
加藤:違うの。200人ぐらいの高校で、全校で5番目ぐらいまでに出来のいいのが掃除を免除される。で、それでそういう出来のいい子は、掃除に使う竹ぼうきがどこにしまってあるかも知らないまま、東京のいい大学に行って都市銀行かなんか入る。そういうやつを一生覚えてるから、みんな。
湯浅:一生(笑)。
加藤:それでそいつは夏休みに故郷に帰ってきても、盆踊りのビールパーティの段取りとかには参加させてもらえないね(笑)。
湯浅:そういうふうに、みんながいろいろなことを見て、記憶している中で、やっぱり、こいつだったらリーダーだ、と押し上げられてくる人がでてくる。そういう人が町議会議員になったり、地元の農協の会長になったりしてきたんだということも、おっしゃってましたね。
加藤:そうですね。なんとなく、みんなをまとめるやつが出てくるんだよね。
たとえば、いつも大雨が降ると洪水になるとします。そこで「あいつの土地に水路をつくれば、みんな助かるんだけどな」という話になる。でもそれにはその人の承諾がいるから、「誰かが行って説得してこい」ということになる。でも「じゃあ、私行ってきましょう」というやつがいても、そいつが器じゃなければ、「お前じゃ、まだ、だめだ」と行かせてもらえない。人徳が必要なんですよ。
湯浅:はい。
リーダーに必要な、多元的な価値を包容する力
加藤:あるいは、よく学校でいじめってあるでしょう。女の先生とか、若い新任の先生では対処できなくなるときがある。するとPTAとか近くの人間が集まって、「あいつに話をつけてきてもらおうぜ」ってことになって、出ていくやつがいるのよ。そいつがいじめっ子の親に向かって、「こら、ヨシオ。お前んとこの次男坊が女子生徒いじめてるみたいだぞ。そういうの男らしくねえよな」なんて説得するわけですよ。
湯浅:もめないですか?
加藤:人徳のあるやつが、ちゃんと言うから成り立つ。そういうやつでないと、村全員を代表できない。
湯浅:そうですね。わかります。
加藤:でも最初からそういうリーダーはいるはずがない。だから、みんながリーダー候補だと認める男がいたら、周りは、そいつに責任感や人をまとめる能力が身に付くように、教育するわけです。リーダーは、責任感と、まとめる力と、あとは多元的な価値を包容するというか、そういうものを受け入れる力が必要だからね。
湯浅:多元的な価値を包容する、大事ですね。今の自民党はそんな感じですか? 昔はもっと多様性があったような(笑)。
加藤:そうだね(笑)。
湯浅:では、今の自民党について、後編でお聞きしたいと思います。
(構成:長山清子、撮影:尾形文繁)
※ 後編は6月24日に掲載します
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