コロナ禍の「自宅DIY」に立ちはだかる意外な壁 求められる「住宅履歴」の適切なメンテナンス

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長期優良住宅が導入された10年前に比べて、デジタルテクノロジーは飛躍的に進歩したが、住宅業界ではデジタル化の取り組みが大きく遅れていた。

ここに来て顧客とのコミュニケーションをスマホで行い、クラウド上に情報を蓄積できるアプリが登場。これまで面倒だった住宅履歴の管理が簡単にできる環境が整ってきている。

クラウド上に住宅情報を記録

住宅ITベンチャーのSOUSEI Technology(東京都港区)では、マイホームアプリ「knot(ノット)」を2017年から工務店やビルダー向けに提供。これまでに800社が導入して3万件以上の住宅が登録されている。

顧客と事業者とのやり取りや見積書、契約書、図面類や取扱説明書などがクラウド上に記録されて、住宅の引き渡し後も顧客はマイホームに関する情報をまとめて見ることができる。

「利用者が使いやすいようにスマホアプリの操作性の改善には力を入れている。最近では顧客管理ツールとして導入する企業が増えてきた」という。2021年には、knotに登録されている顧客が別の会社に修繕を依頼した場合でも情報を追加できる機能を加えるほか、住宅所有者が直接申し込んでknotを利用できるサービスも提供する予定だ。

世界で4000万人以上が利用する住宅コミュニティサイト「Houzz」の日本法人Houzz Japan(東京都港区)では、建築専門家向けに顧客とのコミュニケーションアプリ「Houzz Pro」日本語版を2020年11月にリリースした。

Houzz上でマッチングした顧客とのコミュニケーション履歴がクラウド上に記録され、見積・契約、図面などの情報も蓄積されていく。顧客からもこれらの情報を閲覧できる。

住宅のメンテナンスも、記録さえあればネットでさまざまな情報を調べることができるし、アプリやサイトを通じて施工会社や専門家に気楽に問い合わせることもできる。

最近も水道修理工事の高額請求問題がニュースになるなど、悪質業者のトラブルは後を絶たない。こうした問題を回避するためにも「住宅履歴」の管理は重要であり、引いては長期優良住宅や安心R住宅の普及にも寄与することが期待できる。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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