4位はみずほフィナンシャルグループの1392人(女性998人、男性394人)。育児休業は子が2歳に達するまで取得できる。さらに、上司による休業前・休業中・復職前・復職後面談の実施や自宅で学習可能なeラーニング講座の提供なども行っている。
5位は日立製作所の1184人で女性は720人。メーカーで唯一トップ10入りした。
以下、6位三井住友フィナンシャルグループ1156人、7位三菱UFJフィナンシャル・グループ1099人、8位は東京海上ホールディングス、明治安田生命保険の2社で1062人、10位MS&ADインシュアランスグループホールディングス1026人と大手金融が続く。
全体的に従業員数が多い会社が並ぶため、取得人数が多いのはある意味当然とも言える。そこで、実際に育児休業の取得しやすさを見るためには、子育て世代がもっとも多い30代従業員数などに対する取得者の割合を確認するとよいだろう。この比率が高ければ育児休業は取得しやすいと考えられる。
すでにご紹介した1位日本生命は30代女性の13.5%で、7.4人に1人の計算となる。この世代別人数は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』に掲載しているので気になる方はご覧いただきたい。
回答率が低い「男性の取得率」
さて、育児休業取得者数のランキングを発表すると「なぜ取得率を出さないのか?」という質問をいただくことがある。一言でいえば、育児休業取得率は開示しない企業も多く、ランキングとして発表できるほどの情報がないことが最大の理由だ。
女性の取得率は比較的回答されているのだが、100%が圧倒的でランキングにはしにくい。たとえば、『CSR企業白書』2020年版に掲載している女性取得率ランキングは上位386社まで100%が続く。厚生労働省の「雇用均等基本調査」によると女性の育児休業取得率は83.0%(2019年度)だが、東洋経済CSR調査の回答企業では、女性の育児休業は当たり前になっている。
一方で男性を対象とした取得率の回答率は低い。男性の育児休業に前向きな企業は増えているものの、まだ男性全員が取得という意識はあまりないようだ。そのため、男性の取得可能対象者が何人いるかを把握していない企業も多い。
今後、男性の取得率を上げるために必要なのは目標値を示して、可能な範囲で取り組みを進めていくことだ。そのためにも取得率を計算することは必須となる。各企業にはさらなる開示を求めていきたい。
今後、男女問わず育児休業を普通に取得する社会になると、つねに一定数の従業員が職場を離れるのが当たり前になってくる。こうした時代に業務を滞りなく行うためにはこれまでと異なる働き方が求められる。成功への道は1つではないだろうから、本調査で集めた成功事例を積極的に紹介していきたい。
ところで今回、ご紹介した情報は2019年の調査データとなる。新型コロナウイルスの影響により社会環境は激変した。2020年7月に調査を開始した最新データは今年1月18日に発売予定の『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2021年版に収録している。ランキングについては最近、注目されている男性の取得者ランキングも含めて4月発売予定の『CSR企業白書』に掲載する。こちらも参考にしていただきたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら