ヨックモックはなぜ中東でバカ売れ中なのか 100個単位の"大人買い"は日常茶飯事

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「予算という概念はないのか、というような買い方なんですよね」。ほほ笑みながら語るのは、今でもたびたびUAEに飛び、現地店舗の指導、教育を行う同社海外事業グループの髙橋達也グループ長だ。同じものを100個、200個という注文はざら。あるときなどは、見栄えがするよう大きく豪華な皿に山ほど盛りつけたお菓子を指して、「皿ごと欲しい」と言われたこともある。

国内で用意できるものには120個というものもあるが、それとて1缶18~24個入りの缶を6個詰め合わせたもの。単品でもっとも大きいのはシガール56本入りというものもあるが、それではとうてい間に合わない。とにかく買い方が豪快なのだ。

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世界最大のショッピングモール、ドバイ・モールの中にある店舗

さらにヨックモックの人気を裏付けるのが、8番目に出したドバイ店舗だ。出店した先はドバイ・モール。総面積が111.5万平方メートル、屋内フロアだけでも55万平方メートルという世界最大のショッピングモールだ。

出店したい企業を記したウェイティングリストには、常時300社以上が名前を連ね、出店するだけでも1つのステータスになるという。

なぜアラブ人に人気なのか

UAEの1人当たりGDPは6万4000ドルを超えており、日本の約4万7000ドルを大きく上回る(2012年、ジェトロ調べ)。医療、教育が無料で、住宅も安価に購入できるため、消費意欲が非常に旺盛な国民として知られる。欧米のラグジュアリーブランドの進出も多い。

ドバイは世界の主要小売店の進出数で、ロンドン、パリ、ニューヨークに次ぐ、世界4位の多さという調査結果もある。外国人居住者を含め、ブランド志向、高級志向が極端に強い一方で、富裕層も中間層もブランド価値を認めない製品に対しては、価格に厳しいという。高いだけでブランド力がなければ無視されるのだ。

そんな中にあっても、進出してわずか2年の間に、11店まで店舗網を拡充し、さらにドバイ・モールにまで出店できたのは、きちんとブランドを確立できていることの証拠だ。

実は、中東に赴任する商社員や石油会社の社員にとって、ヨックモックは貴重なお土産だったという。イスラムの戒律もあるため、持って行く日本土産はことのほか気を遣う。また、アルコールをたしなまないこともあり、甘いお菓子を好む人が多いという。

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