そのハラル、大丈夫?マーク発行団体が乱立 一歩間違えば国際問題に発展しかねない
「ここはハラルレストラン、と言いませんでしたか?」
遠藤晴美さん(仮名)は訪日した取引相手のムスリム(イスラム教徒)になじられた。来日したムスリムが最も困るのが食事と礼拝。遠藤さんは少しでも遠方からの客をもてなしたいと、ハラル認定マークの付いたレストランに案内した。だが隣の席に座った客がいきなりビールを飲み出したのだ。
「こんな店は信用できません」。そのムスリムは何も食することなく席を立った。
ハラルとは何か
世界の4人に1人、約19億人がムスリムといわれる。その巨大市場を狙って、日本企業の動きも活発化。イスラム圏に向けた食品輸出に始まり、国内でも「ハラル対応」をうたったレストランや宿泊施設があちらこちらで誕生している。
「ハラル」とはイスラム教の教えに従った戒律で、「合法の」「許された」との意味を持つ。非ハラルなものは「ハラム」と呼ばれ、忌避される。ハラル認定マークが付いていれば、イスラム教の戒律に違反していないことを示す。言い換えれば、ハラル認定マークをつけることで、ムスリムが知らないうちにハラムなものを口にするのを防ぐ、という意味合いも持つ。
ただ、ハラル認定には国際的な認証基準がなく、豚やアルコールがNGであるなど主な点は共通していても、細則になると国や宗派で微妙に異なる。非常に極端なことを言えば、信仰とは神と個人との契約であるため、概念としては「個人基準」のハラルマークもありうる。
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