コロナ禍で人々を元気づけた2020年鉄道の話題 山手線新駅やN700Sデビュー、話題は豊富だった

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緊急事態宣言期間中のJR名古屋駅の新幹線ホーム。ゴールデンウィーク初日4月29日午後4時までの東海道新幹線自由席の乗車率は10%以下だった(写真:時事)

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で終わりを迎える2020年。鉄道業界は、外出自粛に伴うテレワークの普及による通勤利用の減少や、出張・旅行需要の低迷などで未曾有の苦境に陥った。一方、コロナ禍で影は薄くなってしまったものの、新型車両の登場や新駅の開業といった明るい話題もあった。今年の鉄道界を振り返る。

コロナ禍で冬の時代に

あらゆる経済活動に大きなダメージを与えているコロナ禍。中でも鉄道はとくに打撃を受けた業種の1つといえるだろう。都市部の鉄道にとって安定した収入源だった通勤輸送が減少し、近年増加が続いていた訪日観光客需要も消滅。一気に「冬の時代」が到来した。

4月上旬から5月にかけての緊急事態宣言期間中、首都圏の朝ラッシュ時の鉄道利用者数はコロナ禍以前と比べ6~7割減少。4月のJR東日本の鉄道営業収入は前年同期比24%、JR西日本も21.7%まで落ち込んだ。宣言解除後は徐々に回復したものの、国土交通省のデータによると朝の首都圏主要ターミナル駅利用者数は、12月時点でもコロナ感染拡大前に比べて3割減っている。中小鉄道会社への影響も深刻で、国交省の調査によると11月時点で2割以上の事業者が前年比30%以上の利用者減に見舞われている。

この年末は、例年なら都市部の鉄道を中心に実施する大みそかから元日にかけての終夜運転が中止となった。当初は実施を発表していた会社も、コロナ感染者数の急増による自治体などの要請を受けて12月下旬までに中止を発表した。また、都営地下鉄大江戸線は乗務員のコロナ感染拡大により、12月27日から運行本数を通常の7割程度に減らしている。

テレワークの浸透などで利用者数が従来通りに戻ることはないとみられる中、鉄道各社は体制の見直しを迫られている。2021年春のダイヤ改正では、各社で運行本数の削減や終電の繰り上げなどが実施される予定だ。混雑時を避けてオフピークの利用を促す時間帯別運賃の導入検討も複数の鉄道会社が表明している。

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