コロナ禍で人々を元気づけた2020年鉄道の話題 山手線新駅やN700Sデビュー、話題は豊富だった
コロナ禍でやや印象がかすんでしまったものの、2020年はさまざまな新車両が登場した。代表格は7月1日に運転を開始した東海道新幹線の新型車両、N700Sだろう。13年ぶりのフルモデルチェンジとなる同車両は、普通車を含め全席にコンセントを装備。停電時にもバッテリーで自走できる機能を備える。2022年度までに40編成を投入する計画だ。
豪華特急や観光列車も相次いで登場した。3月14日、東京と伊豆方面を結ぶ特急列車として「サフィール踊り子」E261系がデビュー。全車がグリーン席で、さらに格上の「プレミアムグリーン」も連結する。同日に運行を開始した近畿日本鉄道(近鉄)の特急「ひのとり」80000系も、バックシェル付きのリクライニングシートを装備し、快適性が売りだ。
観光向けの列車では、JR西日本の「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」が、寝台を備えた新たな長距離列車として9月に運行を開始。夜行だけでなく、12月からは昼行列車として運行している。JR九州では、5日間で九州を一周する新たな観光列車「36ぷらす3」が10月にデビューした。コロナ禍で観光・旅行には逆風が吹いているが、これらの列車への注目度は高そうだ。
引退イベントにもコロナの影が
新たな車両が登場するかたわらで、一時代を築いた車両が今年も消えていった。
独特な先頭部の形状から「カモノハシ」などと呼ばれた新幹線700系が、約20年にわたる活躍を終えて東海道新幹線から引退。当初は3月8日に最終運行の予定だったが、コロナ禍によってラストランイベントは中止となり、ひっそりと姿を消した。山陽新幹線区間では引き続き活躍を続けている。
JR発足直後の1990年にデビューし、それまでの車両のイメージを打ち破る画期的な存在だった「スーパービュー踊り子」251系もダイヤ改正前日の3月13日で引退した。国鉄末期からJR初期にかけて登場した車両の世代交代が進んでいる。
四国の阿佐海岸鉄道は、線路と道路の両方を走れるDMV(デュアルモードビークル)の導入に向け、11月30日で従来のディーゼルカーによる列車の運転を終了した。同線は2020年度中のDMV運行開始を目指している。
新型コロナの収束が見通せない中、2021年の鉄道業界は厳しい状況が続きそうだ。春のダイヤ改正では各社が終電時刻を繰り上げ、運行本数見直しの動きも相次ぐ。そんな中、12月24日にJR九州が香椎線で始めた自動運転の実証は、コスト削減や合理化に向けた方向性の1つを示しているといえるだろう。
緊急事態宣言下でも通常運行を続け、人々の足を支え続けた鉄道。先行きは不透明だが、それでも列車は走り続ける。
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