“ゴリゴリ"のドコモ新社長が仕掛ける猛攻 携帯の激安料金は反転攻勢の序章にすぎない

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持ち株会社NTTの澤田純社長(写真上)から「ドコモを強くしてこい」と言われ、陣頭指揮を執る井伊基之社長(下)(撮影:尾形文繁、大澤誠)

12月25日、NTTドコモが20年余りの上場企業としての幕を下ろす。

9月29日の会見でドコモの完全子会社化を発表した持ち株会社NTTの澤田純社長は、「携帯キャリアの収益で3番手になったドコモを強くしなければいけない」と強調。このままではライバルからどんどん遅れをとるという危機感から、4.3兆円を投じるTOB(株式公開買い付け)に踏み切ったのだ。

上場廃止を待たずして12月1日から新社長に就いた井伊基之氏は、持ち株会社でドコモ立て直しの戦略策定にかかわっていた人物だ。ある現役社員は「(前社長の)吉澤さんは“スマート”だったが、井伊さんは“ゴリゴリ”。澤田さんと同様に『業界3番手』を連呼し、今のドコモは全然ダメだ!とはっぱをかけている」と打ち明ける。要は、穏和な前社長、体育会系の新社長ということだろう。

「思い切ってやる」と断言

そして、社長就任から2日後に一発目の狼煙を上げた。ドコモは新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表。データ量20GB(ギガバイト)で月額2980円という破格の料金で業界を驚かせた。12月18日には、既存の大容量プランの値下げも打ち出した。

今後は手薄だった法人事業でNTTコミュニケーションズなどグループ各社との連携を深め、法人向けで先行するKDDIやソフトバンクと肩を並べたい考えだ。「ドコモはスタートラインにも立てていなかった」(NTTの澤田社長)というように、携帯の新プランによる巻き返しは序章だ。

アハモの発表後、井伊社長にインタビューすると「今までのドコモだったらやらなかったことを思い切ってやる」と断言した。猛攻に動き出したドコモにはまだまだ奥の手がありそうだ。

東洋経済プラスの連載「反撃のNTT」で、この記事の続きを無料でお読みいただけます。連載ではNTTグループ6社のトップインタビューも配信しています。
NTT社長「“ゲームチェンジ”すればGAFAは脅威じゃない」
NTTドコモ社長「ギリギリ準備が整った。早急にV字回復させる」
NTTコミュニケーションズ社長「ドコモと組んで“プラットフォーマー”になる」
NTTデータ社長「もっと上へ“世界トップ5”目指す」
NTT東日本社長「地域密着型の“ICT商社”に生まれ変わる」
NTT西日本社長「地域分散の“弱み”を“強み”にできる」
中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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