資本主義が抱える本質的な問題を世界の知性とともに多角的に考察する番組「欲望の資本主義」。新春恒例となった異色の教養エンタメ番組で、『欲望の資本主義4 スティグリッツ×ファーガソン不確実性への挑戦』など、書籍化もされている。今回特に注目されるのが「無形資産」と格差拡大だ。コロナ禍でデジタルテクノロジー主導の経済がますます存在感を増している中、日本と世界はどこへ向かうのかを追った元日放送の「BS1スペシャル 欲望の資本主義2021~格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時~」の見どころをお届けする。
一方、そうしたバーチャルな経済が増殖する中で注目されている番組が、「ネコメンタリー」と「魂のタキ火」だ。一見、つながりのないように見える3番組に通底する問題意識について、番組を企画したNHKエンタープライズ番組開発エグゼクティブプロデューサーの丸山俊一氏に伺った。
火が、炎が、人々の心を開放する
「魂のタキ火」なる番組を始めた。 冒頭からカメラはひたすら燃える火を捉え、炎のアップの映像が延々と続く。ナレーションはない。パチパチと薪がはぜる音、風の音、遠く過ぎゆく電車の音もうっすらと鼓膜に響く。そして画面には、炎が相変わらず揺れ続ける……。
いったいこれは「番組」なのか、たまたまテレビを点けて、この映像に遭遇した方はその唐突な出会いに一瞬戸惑われることだろう。しかし同時に、少しずつ時の流れの感じ方が変わり、感覚の変容を覚えるという方も少なくない。
そのうちに炎の向こうから 聞こえてくる、とりとめのない言葉、素朴な声、洒脱な会話……。ようやく、さまざまなジャンルの3人のゲストたちがタキ火を囲み、言葉を交わすさまが描き出される。台本はもちろんない。炎を囲むことで、たまたま居合わせたかのような3人に、日常から少し自由になって、心の底に眠る思いを吐露してもらおうというわけだ。
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