【産業天気図・ソフト・サービス】企業のシステム投資低調で終始「曇り」、主要各社は赤字は回避
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
2010年4月から1年間、ソフト・サービス業界は「曇り」が続く見通し。景気全体の冷え込みで、システム開発の新規受注は大幅に減少している。
富士通<6702>,NEC<6701>などの総合電機ばかりかNTTデータ<9613>をはじめとする専業大手もコスト削減のために内製化に走り、外注費が大幅に削減された。このあおりを受けて中堅システム開発会社やアウトソーシング請負事業・会社の収益が大幅に後退している。これまで大手システム開発会社の売上高自体は08年までの受注残消化でしのぐことができた。だが、10年度前半にはいよいよその貯金がなくなるのだ。
一方で需要は相変わらず低迷。一部の金融機関と流通業向けは堅調が続くものの、システム開発需要の過半を占める製造業向けの低迷が長引きそうだ。「製造業の投資はまず設備から再開し、IT投資は一番最後に来る」と専業大手幹部は言う。09年末ごろから引き合いは活気を帯びてきていると業界関係者は言うが、実際に受注には結び付いてはいないようだ。
潜在需要がないわけではない。メーカーをはじめ、多くの企業がこれまで、自社のサーバーを持ち、自社従業員の手で運用・メンテナンスを行ってきた。だが、これでは情報化のスピードに追いつけないことがはっきりしてきた。さらに、過去のIT投資が、総合的な戦略なしに、場当たり的に継ぎ足してきたトガメも顕在化してきた。仕組みが複雑化しすぎて、いわゆる「スパゲッティ現象」をおこし、ハード面でもソフト面でも簡単な手直しすらどこに持ち込めばよいのかわからなくなっている。明らかに全体最適が失われており、このことが管理面でもコスト面でも大きな障害となりつつある。
これらを仕切り直したうえで、自社でサーバーを持たないクラウド型の運用への切り替えを推進していく動きは今後必ず現れてくる。10年度はそこに至るまでの端境期となりそうだ。ただし、アウトソーシングは需要・価格とも若干の低下傾向はあるものの一定水準は確保できるため、各社とも赤字転落には至らないだろう。
(小長 洋子)
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