韓国で急増する「宅配過労死」その悲惨な現状 政府の保護から外された苛烈な通販現場

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韓国では今年に入ってから15人の配達人が命を落としている(写真:Woohae Cho/The New York Times))

韓国ソウル南部にある、航空機の格納庫ほどの大きさの物流倉庫。ここでは最近、来る日も来る日も繰り返される過酷な1日の労働の前に、配達員たちがある儀式を行うようになっている。過労で今年亡くなった十数人の同業者に黙祷をささげているのだ。

「私たちの誰かが次にバタンと倒れて死んでも、ここにいる人たちは驚かない」と配達員の1人、チェ・ジナさん(43)は話す。

チェさんをはじめとする韓国の配達員たちは、失業が増える中で仕事があるのはありがたいことだ、と言う。また、感染対策で自宅にいることを好む消費者に記録的な数の荷物を届け、韓国の新型コロナウイルス感染者数を抑制するのに重要な役割を果たしていることにも誇りを感じている、と言う。

だが、それには代償が伴っている。

労働時間規制から除外された配達員

今年になって配達員が次々と死亡したことで、国中に衝撃が走った。韓国はかつて世界有数の長時間労働国だったが、今度は労働者保護の格差に目が向けられるようになっているのだ。人々は「弾丸のような速さ」で荷物が届けられることを期待している。

しかし、労災保険も適用されずに働く配達員たちは、荷物の増加に追いついていけないと話す。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が行った労働法改革からも抜け落ち、放置されたままになっている、といった声もあがる。

今年死亡した配達員はこれまでに15人。中には、夜明けから真夜中の12時過ぎまで働き続けることを余儀なくされる、異常な仕事量に不満を漏らした後に亡くなった者も複数いる。過労死が相次いでいる、と配達員たちは話す。

「仕事量があまりにも多くなり過ぎた」とチェさんはこぼす。「コロナ禍が始まってから、子どもたちと一緒に夕食をとることも遠い夢になってしまった」。

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