第2波で躓いたスウェーデンの大変な「その後」

コロナ対策独自路線を貫いていたが医療が逼迫

コロナ対策で独自路線を貫いていたスウェーデンは今どうなっているのか(写真:TT News Agency/Johan Nilsson via REUTERS)

スウェーデンは新型コロナウイルス対応で独自路線を貫いてきた。ロックダウン(都市封鎖)が行われることはなく、レストラン、バー、学校、映画館、スポーツクラブもほぼ開いたままだった。死亡率は他の北欧諸国を上回っていたが、規模の大きなヨーロッパ各国と比べれば似たような水準にあった。

ところが、今回の第2波で新規感染が急増。首都ストックホルムの救急医療の対応能力が追いつかなくなったことで、当局は方針の見直しを余儀なくされている。11月下旬には新たな規制が導入され、スウェーデンの対策も他のヨーロッパ諸国に多少は近づいた。新たな規制には、集会規模の縮小や学校の一部休校などが含まれる。

集中治療室の使用状況は100%を突破

それでも、スキー場や飲食店は依然として営業を続けている。スウェーデンの規制は以前より強化されたとはいえ、ヨーロッパの他国に比べるとまだ緩く、これでは足りないのではないのか、といった懸念が強まっている。ストックホルム地域の病院の集中治療室は完全に埋まっている、と同地域の医療担当責任者ビヨルン・エリクソン氏は15日の記者会見で語った。「集中治療室の使用状況は100%をはるかに超えて、能力の2倍に近づきつつある」(エリクソン氏)。

新型コロナのパンデミックが始まって以降、感染抑制手法をめぐってはスウェーデンの国内外で熱い議論が闘わされてきた。春の感染拡大で他国がロックダウンに突入していく中、スウェーデンは同様の行動規制には踏み出さなかった。人々を家の中に閉じ込めれば、うつや自殺、治療の先延ばし、失業など、子どもと大人の双方に長期的な悪影響が広がる懸念がある、という判断だ。

だが、ステファン・ロベーン首相は14日、専門家は第2波の可能性を過小評価していたと語った。遠回しにではあるが、政府が専門家集団を初めて批判した瞬間だ。その専門家集団とは、コロナ関連政策の策定を担うスウェーデン公衆衛生局、および同局を率いる疫学者のアンデシュ・テグネル氏のことである。

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