不倫を描いて炎上しない「恋する母たち」の秘密 原作マンガとドラマは実はここまで違った

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

そして、もう1つ。

「まる&まり」の、本来NGなはずの恋を視聴者に応援したい気持ちにさせたのは、不倫に開き直るまりさんの夫・蒲原繁樹のクズ具合&その夫の不倫相手(山下のり子=森田望智)のゲス具合だったと思うんです。原作では、あそこまでクズ&ゲスじゃなかったですよ。

だけど、ドラマでの描かれ方を見ると、もう「ほかの男によろめくの、やむなし!」の空気感漂いますよね。

まりさんの夫のクズさと、不倫相手のゲスさが、今回のラブストーリーがギリギリ成立するカギを握っていたと思います。

これもまた、ちなみになのですが、最終回で再会するまりさんの夫と不倫相手。原作とドラマでは、180度違った再会シーンになっています。

やはりこのシーンに関しても、私自身は漫画のほうが救いがなくて、だけどその分リアリティーあるなあと思ったのですが。

でも、ドラマのほうが、完全に気持ちがいいです。

「今季イチ、気持ちのよいエンディング」

と、まだまだまだまだ、細かく改変されていたドラマで語り尽くせないのですが。

不倫を扱った作品にもかかわらず、「今季イチ、気持ちのよいエンディング」とまで言われた「恋する母たち」の評価は、製作陣の全方向世間体配慮のたまものであったのではないか、と思った次第です。

(ああ、あと、5倍くらいの分量書きたい。いちばん改変が少なかった吉田羊さんと磯村勇斗さんの恋についても、書きたい!)

と、身悶えながら、現場からは以上です。

佐藤 友美 ライター・コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さとう ゆみ / Yumi Sato

1976年北海道知床半島生まれ。テレビ制作会社のADを経て文筆業に転向。元東京富士大学客員准教授。

書籍ライターとして、ビジネス書、実用書、教育書等のライティングを担当する一方、独自の切り口で、様々な媒体にエッセイやコラムを執筆している。

著書に8万部を突破した『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『道を継ぐ』(アタシ社)など。理想の男性は冴羽獠。理想の母親はムーミンのママ。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT