台湾がコロナ禍で介護労働者不足の危機に 介護職支えるインドネシア人を入国制限
台湾では家族主義が強いため、家族介護を前提とする制度が先に構築され、家庭内に労働者が入る中で、どのような労働環境に置かれているのか、外部からはわかりづらい状況にあった。施設を中心とした介護サービスの整備はそれより遅れて進んだため、家政婦業と介護業の両方に従事する労働者が増えたと指摘する研究者もいる。
その後、2016年に法整備が進み労働環境が大きく改善され、今日、台湾が進めている本格的な多元文化社会となった。近年、週末の休日を外国人らが台北駅の同一色のタイルに座り込んで談笑する様子が取り上げられることあるが、これは多言語多文化社会のひとコマとして興味深い。
感染症への水際対策と労働力確保のバランス
しかし、労働人材として、また社会の構成者として外国人労働者は台湾でなくてはならない存在である一方、先のイメージのように、雇用主と労働者の枠組みの中では、依然として偏見にも似た状況にあることは事実だ。
日本でも外国人の就労について、技能実習制度などの既存のシステムによる受け入れ拡大や、その他の方法での模索が検討されている。台湾のような外国人労働者の「受け入れ先進国」で、いまだに残る外部から見えにくい社会問題の洗い出しも、制度や法整備を行ううえで重要な検討課題だろう。
なにより日本社会も外国人労働者が徐々に増えている中で、本格的に共存を選択した際、今後どんな問題が生じるのか、国民一人一人が再考して判断する時期にある。情報の整理と公開がこれまで以上に重要だ。
そして今回のような国境に関係なく迫りくる感染症のような危機に対し、どのような対策を講じるべきか。水際対策と労働力の安定化のバランスは、今後の台湾のアクションから学び取ることができる。コロナ渦で露呈したさまざまな問題をいま一度大切な経験として生かしていきたい。
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