「1日500個完売」名古屋人気スイーツの正体 名古屋コーチンの卵を使った「ぴよりん」

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「7年ほど前、すべてのクリスマスケーキにぴよりんを使うことになりました。本当に売れるかどうか祈るような気持ちで予約当日を迎えましたが無事に完売しました。ホッとしましたね。少し間を開けて、4年くらい前からすべてのクリスマスケーキにぴよりんをデコレーションしています」(越智さん)

SNSから広がった「#ぴよりんチャレンジ」

ぴよりんの知名度を上げていったのは、1日に37万人以上が利用する名古屋駅構内という立地にも要因があったのだろう。「ぴよりんshop」や「カフェ ジャンシアーヌ」のショーケースの前で立ち止まり、ずらりと並ぶぴよりんに一目惚れして買っていく客も少なくない。

コンサートや公演で名古屋を訪れたアーティストや役者に差し入れとして購入するケースも多く、彼らがアップしたインスタやTwitterを見た多くのファンが店へ押し寄せたことも1度や2度ではない。名古屋駅という好立地にSNSが後押しする形でぴよりんは順調に売り上げを伸ばし、インスタがブームになった2017年には累計販売個数が100万個を突破した。

ここ最近、SNSで話題になっているのが「#ぴよりんチャレンジ」。ぴよりんはババロアとプリンでできているため、ちょっとした振動や衝撃で崩れてしまう。そんな特性を利用して、購入時の状態を保ったまま持ち帰ることができるか挑戦するというもの。

ぴよりんの断面(写真:ジェイアール東海フードサービス)

「持ち歩くのは2時間以内、近隣地域へのお土産として想定していました。まさか、東京や大阪まで持ち帰るお客様がいらっしゃるとは思いませんでした。ババロア部分をかためにしたり、箱などの包材を変えたりもしましたが、手提げ袋をできるだけ水平に保たないと、どうしても形が崩れてしまいます」(越智さん)

SNSには店から持ち帰った写真とともに持ち帰るまでの所要時間や「名古屋〜東京」という区間も投稿されている。無事に「帰還」した写真が多く見られるが、中には完全にひっくり返っていたり、目やクチバシ、トサカが欠落してしまった無残な姿も。それでも可愛く見えるぴよりんのポテンシャルはすばらしいと思う(笑)。この「#ぴよりんチャレンジ」によって、2019年には累計販売個数が130万個を超えた。

「販売当初は1日の生産量がたったの30個でしたから、実に感慨深いものがあります。これまでは名古屋駅でしか買うことができないというプレミアム感を大切にしてきましたが、現在、通販に対応すべく冷凍のぴよりんを企画、検討しています。何度か試食しましたが、今ひとつ味や食感が再現できないんです。店頭販売と同じ味になるまでじっくりと育てていこうと思います」(越智さん)

今年はコロナ禍で名古屋駅の利用客は減少したものの、テイクアウトの需要が増えたため、累計販売個数は150万個を超える見込みとか。来年はぴよりん生誕10周年。今や名古屋を代表するスイーツに成長したと言ってもよいだろう。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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