「1日500個完売」名古屋人気スイーツの正体 名古屋コーチンの卵を使った「ぴよりん」

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現在、管理部次長を務める越智謙吾さんは、カフェ部門を統括する事業部飲食二課長としてチームに加わった。ほかのメンバーは全員退職しており、ぴよりんの「生みの親」として誕生ストーリーを知る者は越智さんただ1人。

「安直な発想ですが、可愛くて丸いものを作れば女性の人気を集めるのではないかと。まずはキャラクターもののケーキを研究して、それをベースにデッサンを描きました」と、越智さんは当時を振り返る。

ところが、何カ月も試行錯誤を重ねたものの、なかなか納得できるものができず、プロジェクトは行き詰まってしまった。そのとき、メンバーの1人が放ったひと言がぴよりん誕生のきっかけとなった。

ジェイアール東海フードサービスの越智謙吾さん(筆者撮影)

「『ひよこって丸くて可愛くないですか?』と言ったんです。その場が色めき立ち、早速試作に取り組みました。かなり初期の段階でババロアの中にプリンを入れていましたが、今ひとつでした。ひよこのフワフワ感が表現できていなかったんですね。粉末状にしたスポンジケーキを纏わせて、原型が完成しました。そして、名古屋名物として売り出すのであれば、プリンには名古屋コーチンの卵を使おうと」(越智さん)

実際にぴよりんを製造しているところを見せてもらった。プリンを焼いたり、ババロアを炊いたり、ババロアの中にプリンを入れたりとすべての工程を手作業で行っていた。聞いてみると、完成するまで約7時間かかるという。

また、チョコレートでできた目やクチバシ、トサカ、羽を付けるのも手作業なので、顔が一つひとつ微妙に異なる。それもまたぴよりんの魅力だったりするのだ。

2011年7月に販売を開始し、わずか2カ月後の9月に愛知県が主催する『愛知のふるさと食品コンテスト』で64点の出店食品の中から、ぴよりんが最優秀食品に選ばれた。さらに10月にはハロウィンぴよりん、12月にはサンタぴよりんと賀正ぴよりんと、季節限定のぴよりんを製造した。限定100個の販売だったが、瞬く間に売り切れた。

「ぴよりん」のクリスマスケーキは完売必至

以来、毎年9種類前後の季節限定ぴよりんを販売している。中でも注目すべきは、毎年11月上旬に予約を受け付けているクリスマスケーキだ。

今年発売される「ぴよりん」のクリスマスケーキ(写真:ジェイアール東海フードサービス)

クリスマスケーキは、イチゴの“あまおう”をふんだんに使ったものや定番のブッシュドノエルなどを販売していた。そのラインナップの中にぴよりんを使ったデコレーションケーキをくわえたところ、あっという間に予約が埋まったのだ。12月20日前後から25日までは店頭でも販売されるが、去年はあっという間に売り切れた。

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