2021年の「丑年相場」は相場格言通りつまずく? 「辛丑(かのとうし)」の「辛」のほうにも注目
では 60年前(1961年、昭和36年)の辛丑の年を振り返ると何があっただろうか。この年は1月にアメリカでケネディ大統領就任。2月は日本医師会と歯科医師会が医療費値上げ要求で一斉休診。7月は小児麻痺流行で生ワクチン投与、8月は東ドイツ政府によるベルリンの壁構築。9月は第2室戸台風による被害などだ。2021年は、これら60年前にあった出来事も踏まえ、相場をチェックしていきたいものだ。
1949年以降の日経平均3勝3敗、21年は後半つまずく?
さて、丑年相場を調べてみると相場の大天井になっていることが多い。相場格言は「丑つまずき」だ。丑年の日経平均は1949年(昭和24年)5月16日の取引再開来平均騰落率がマイナス6.3%と十二支中、最下位だ。
ただし、勝敗を見ると、通算6回は3勝3敗のイーブン(上昇年は、1961年・1985年・2009年。下落年は、1949年・1973年・1997年)。1949年は5月と9月のダブルトップのピークをつけた後、ドッジデフレ(1ドル=360円の単一為替レートの設定)で暴落した。また1961年は7月まで上昇後、「往って来い」となり下落(証券不況へ)。
次に1973年は2月変動相場制、10月オイルショックで年初から年末まで下落。1985年は年初から4月まで上昇したが、その後は年末まで横ばいで推移(9月にはプラザ合意)。1997年は年初から6月まで上昇したが、7月アジア通貨危機で下落。最後に、リーマンショックの次の年である2009年は3月までもたついたものの、6月にかけて上昇、その後年末まで横ばいだった。
上記のとおり、直近6回の丑年は、上昇下落を交互に繰り返しており、仮にこのリズムが続くと、2021年の丑年は、下落の年になるかもしれない。1949年以降の経験則でも年央に天井をつけて後半に下落する傾向があるようだ。相場格言どおり「つまずき」となることも想定しておきたい。
ちなみに、子(ね:ねずみ)年の2020年を振り返ると、日経平均は29年8カ月ぶりの高値を更新しており、相場格言どおり「子は繁栄」となった。
一方、干支の干のほうも見てみよう。 辛(かのと)年は、戦後4勝3敗と勝ち越しになっているが、直近ではなんと3連敗中だ(上昇年は、1951年・1961年・1971年・1981年。下落年は、1991年・2001年・2011年)だ。
詳しく見ると1951年は年初から年末まで右上がりに上昇。1961年は年初から7月まで上昇したが、年末にかけて下落。1971年は年初から8月まで上昇、8月ニクソンショック後はもたついた展開。1981年は年初から8月までの上昇でピーク、その後乱高下。1991年は、ソビエト連邦崩壊で3月以降、年末まで下落。2001年は5月まで堅調だったが、アメリカの同時多発テロで9月に急落。2011年は東日本大震災で3月に急落、11月さらに下落した。
上記のとおり、4回の上昇年は、1951年を除き、7月か8月に年間ピークをつけている。2021年も夏以降、気をつけたい。ちなみに、直近3回の辛年は、湾岸戦争・アメリカの同時多発テロ・大震災などにより、3連敗して下落している。
最後に、為替リスクにも注意したい。辛年は、戦前で見ると1931年にはアメリカのハーバート・フーバー大統領によるモラトリアム宣言、日本の高橋(是清)財政開始、英国では金本位制停止の年だった。また戦後はなんといっても1971年8月のニクソンショック。さらに2011年8月にはニューヨーク外為市場で1ドル=75.95円の最高値更新をしている。このように見ると、2021年は円高リスク(ドル安リスク)にも注意したい。
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