2021年の「丑年相場」は相場格言通りつまずく? 「辛丑(かのとうし)」の「辛」のほうにも注目

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私に限らずマーケット関係者は、毎年、年の瀬が近づくと次の年の干支(えと)が気になる。未知の世界がどうなるか知りたいからだ。そこで2021年の相場を干支で見てみよう。

まず2021年は丑年だが、そもそも「丑(うし)」とは何か。十二支(じゅうにし)の1つで、「ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い」の2番目に数えられている。

牛は古くから酪農や農業で人間を助けてくれた大切な動物だった。大変な農作業を最後まで手伝ってくれる働きぶりから、丑年は「我慢(耐える)」「これから発展する前触れ(芽が出る)」というような年になるといわれる。

中国の歴史書『漢書』律暦志によると、丑は紐(ひも:「曲がる」「ねじる」の意味)で、「芽が種子の中に生じているものの、出かかっていて表面に出てきていない状態を表している」と記載されている。結ぶ。何かに決着をつけるという意味がある。

現代では、干支(えと)というと、「子(ね:ねずみ)・丑(うし)・寅(とら)・卯(うさぎ:)・辰(たつ)・巳(み:へび)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い:いのしし)」の十二支のことを指すが、これはあくまで「支」のことを言っているのにすぎず、厳密には干支(えと)ではない。だから、2021年の干支(えと)とは、単に丑(うし)ではないのだ。

2021年の干支は、「辛丑(かのとうし)」

では2021年の干支(えと)はなにか。「十干十二支」から言わねばならず、それは「辛丑(かのとうし)」だ。そこで先人の知恵を借りて、2021年の日本株式相場を予測してみたい。

本来の干支は、「甲(コウ:きのえ)・乙(オツ:きのと)・丙(ヘイ:ひのえ)・丁(テイ:ひのと)・戊(ボ:つちのえ)・己(キ:つちのと)・庚(コウ:かのえ)・辛(シン:かのと)・壬(ジン:みずのえ)・癸(キ:みずのと)」の十干(じっかん)と十二支を合わせて、十干十二支(じっかんじゅうにし)で表される。

このうち、「辛」(かのと・西暦の末尾1の年)は、陰陽五行で「金」性の「陰」に当たる。辛は宝石や貴金属など小さくて精練された金属を象徴する。文字通り「辛(つら)い」という意味がある。また、「辛」の字は新との意味もある。草木が枯れて新たな世代が生まれようとする状態を表す。

十干と十二支の組み合わせは、60種類(周期)だ。10(十干)と12(十二支)の最小公倍数が60だからだ。一般的に理解しやすいのは、60年経つと、生まれた年と同じ干支(えと)になるので暦が戻る。60歳の「還暦」のお祝いはよく知られているところだ。ちなみに、これらは記号のようなもので、かつてはそれぞれを組み合わせて数字のように使われていたようだ。意味深い。

 2021年は「辛丑(かのとうし)」である。この2つの文字が意味する2021年は、「辛さは続くが、一段落すれば、徐々に新しい知恵(アイデア)が湧いてくる」。これは、世の中を大きく変えた新型コロナウイルスが、このまま収束に向かうことを暗示しているのか、とても気になる。

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