アップルが進める、囲い込み戦略とは? WWDC2014でみせた「アップルにしかできないこと」

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また、アップルが買収したアプリのベータテスト環境を提供するTest Flightも開発者に対して無料で提供され、ユーザーを集めたベータテストをApp Storeを通じて行うことができるようになった。

最も会場に驚きをもたらしたのが、新しい開発言語Swiftの発表だ。これまで、アップルのアプリ開発にはObjective-Cが使われてきたが、より高速でモダン、そしてインタラクティブにコードを書くことができる言語としてSwiftを登場させた。

またゲームで利用されるグラフィックス環境についても、Metal、SpriteKit、SceneKitをそろえ、開発者の負担を大幅に軽減することを実現している。

iOS向けHealthKitとアプリ「Health」は、セキュリティとプライバシーを考慮して健康情報・医療情報を扱う環境を整備する

またiOS環境向けには、アプリの機能を部分的にほかのアプリから利用できるようにする拡張連携機能や、スマートホームに関連する新API「HomeKit」、健康管理向けの新API「HealthKit」、Touch ID APIの解放など、現在のトレンドを整理したり、これまでのニーズに合ったAPIの準備など、環境整備を行った。

またMac・iPhone・iPadを横断的にiCloudを利用しやすくするための「CloudKit」も用意され、開発者がクラウドを生かしたアプリ開発を簡単に行えるようにした。

「開発環境の充実」というサービス

本連載でも紹介したフェイスブックは、4月末に開催された開発者会議「F8」で、「Move Fast wit Stable Infra」という標語を披露した。フェイスブックという巨大ソーシャルネットワークサービスをインフラとしてアプリ開発者が安心してアプリを作れるよう、インフラの安定性の保証や広告によるマネタイズ手段の提供、Parseによる開発環境の提供という「お膳立て」をしたことになる。

アップルの開発者会議は、アップルのデバイスとOSで動作するアプリを、アップルが用意するApp Storeで配布もしくは販売して、いかに収益を上げてもらうか、という点にフォーカスしていることは言うまでもない。

その上で、フェイスブックのイベントとの比較で感じた大きな違いは、参加人数だけでなく、アップルはただ環境を用意するだけでなく、プラットホームとしての意志を見せながら開発者に対してイマジネーションを拡げてもらおうとしている点だろう。そのイマジネーションは、開発者の利益になるのはもちろんだが、アップルのプラットホームの魅力を高める役割もある。

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