年収762万以下は通勤手当廃止で年金減の危機 コロナ禍の実費支給が思わぬところにシワ寄せ

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このように、通勤手当の廃止は雇用保険上での影響が大きいといわざるをえません。

極端なケースではありますが、年収600万円で新幹線通勤の手当15万円を受け取っているとしたら、どうなるでしょうか。

減額幅はさらに大きくなります。賃金の上限額である602万6400円から通勤手当180万円(15万円の12カ月分)をマイナスすると、年収は422万6400円。介護休業給付の減額幅は約31万1550円にも上ることになります。通勤手当の支給が高額で年収600万前後の会社員は注意が必要です。

現役時の所得税が増え、老後の年金は減る

通勤手当廃止の影響は雇用保険に限ったことではありません。ほかにも、老齢厚生年金の受給額に影響があります。

厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度です。その中でも老後に受け取る老齢厚生年金は、納めた保険料に応じて老後に受け取る年金額が多くなる仕組みになっています。厚生年金保険料は給与や賞与の金額を基に保険料率を掛けて算出されます。この保険料を算出する際の給与にも、通勤手当が含まれるのです。

通勤費が実費精算になったとしても、月1回程度の出勤であれば給与が激減することは明らかです。その影響として厚生年金保険料は減ることになり、目先の手取り給与は若干増えることになります。手取りが増えるのはうれしいことですが、喜んでばかりもいられないのです。

例えば、さきほどのAさんの場合、通勤交通費は年間60万円ですから、年金の厚生年金保険料は5万4900円減ることになります(厚生年金保険料率の自己負担分9.15%で計算)。保険料負担が減ることでの影響は2つあります。

1つ目は、税金を計算するうえで控除としてマイナスできる社会保険料が少なくなるため、税金が増えることです(通勤手当は非課税ですから年収490万円の所得税率を10%とすると5490円税金が増えることになります。あまり大きなインパクトではありません)。

2つ目は、老齢厚生年金の受給額が減ることです。Aさんの場合で試算してみましょう。

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