年収762万以下は通勤手当廃止で年金減の危機 コロナ禍の実費支給が思わぬところにシワ寄せ

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介護休業給付金は、原則として休業開始時賃金日額の67%を基に算出されます。ここで注目したいのが、雇用保険のルールです。通勤手当については賃金日額を計算する際に含まれるからです。つまり、Aさんにしてみれば通勤交通費が激減することで介護休業給付金が少なくなってしまうのです。

Aさんの年収は550万円で、通勤手当約60万円が含まれています。通勤手当がなくなった場合、介護休業給付金を仮に最長で通算93日受け取るとしたら、合計で約10万3788円少なくなってしまいます。

ただし、休業開始時賃金日額は、原則介護休業前6カ月間の賃金を180で割った額ですから、来年の4月までに介護休業を取得できればマイナスの影響はありません。とはいっても、こればかりはどうすることもできません。通勤手当の廃止で思わぬところに影響が出ると知ったAさん、やるせない気持ちになったことでしょう。

「上限額」超えの高給取りは影響を受けない

一方、先日ご相談にいらした外資系メーカーで働くBさんは、3月以降、一度も出社せずにテレワークが続いていることもあり、11月から通勤手当がなくなったとのことでした。Aさんと同様、Bさんの介護休業給付がどうなるかをみてみましょう。

Bさんの年収は約1000万円。実は、この年収こそが介護休業給付の金額に関わるポイントです。さきほどのAさんは該当していないために説明を省きましたが、介護休業給付金を算出するときの賃金月額には「上限額」が設けられています。月額で50万2200円、年収ベースでは602万6400円を超えると、上限額を基に計算することになります。

Bさんの通勤手当は年間84万円。その分をマイナスすると年収916万円です。ということは、年収が1000万円でも、あるいは916万円になっても賃金の上限額(年収602万6400円)を基に算出は行われます。したがって介護休業給付金の支給額が減ることはありません。もしも、BさんがAさん同様に介護給付金を受け取ることになったとしても、影響がないのです。

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