コロナ失職「サービス業従事者」転職が難しい訳 これからは人材と求人のミスマッチが拡大する

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過去16年のデータに基づく同氏の分析はこうだ。今年の春以降、新型コロナで最も深刻な影響を受けた職種に就いている人々が自らのスキルを刷新し、職種転換を果たすのは容易ではない——。過去のデータを見る限り、タクシー運転手、ダンサー、ホテルのフロントスタッフなどが、登録看護師、配管工、計測エンジニアといった職業に転身できた例は少ない。

「現在失業している人々の多くにとっては、新しい仕事を見つけてキャリアアップするのは、以前よりもっと難しくなるおそれがある」とエスコバリ氏はリポートに記している。

人と直接接するサービス業は不況に比較的強いとされてきたが、今回のコロナ禍では大量の雇用がいきなり失われた。その衝撃をもろに食らったのが、高校より先の高等教育を受けていない労働者だ。こうした人々はサービス業界で低賃金の仕事に就いていることが多い。

すでに進行していた雇用不安がコロナで加速

「経済へのダメージ、中でも労働者へのダメージはおそらく私たちが考えている以上に長く続く」と話すのは、ヒューストン地区の地域経済開発組織「グレーター・ヒューストン・パートナーシップ」で地域労働力開発のバイスプレジデントを務めているピーター・ビアード氏だ。

それだけではない。ビアード氏によれば、すでに職場を変えつつあった変化はコロナ禍で加速することになるという。例えば、企業が今後起こりうるパンデミックへの対策を進めれば、自動化の流れにはほぼ間違いなく拍車がかかる。

もっとも、職種転換は克服不可能な課題というわけではない。アメリカ空軍で11年間働いた経験のあるステファニー・ブラウンさんは、ミシガン州ロチェスターにあるホテルで調理師の仕事をしていて今年3月に失業したが、比較的早く次の仕事を見つけることができた。

企業向けソフトウエア大手のセールスフォースが提供する研修プログラムを足がかりに、10月にフルタイムの仕事をゲットしたのである。ブラウンさんはセールスフォースのシステム管理者として、ニューヨークに本社を置くソフトウエア企業パイメトリクスを担当することになった。ミシガン州アナーバーにある自宅での在宅勤務だ。

確かに、こうしたサクセスストーリーはあちこちに散らばっている。とはいえ、何百万人という人々の職種転換は今もとてつもなく難易度の高い政策課題であり続けている。

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