フォレスターが「今さらターボ」を搭載した訳 燃費性能大幅アップもまだ届かない規制水準

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うまくいけば、相当に燃費のいいクルマに仕上げることも可能だろう。ただし、この方法は、諸刃の刃でもある。下手をすると、大きくブランド名を毀損させることになるからだ。「こんなのスバル車じゃない」と、ユーザーが離れてしまうかもしれない。

同じように、安易なクルマ作りでブランドイメージを大きく毀損させた事件があった。それは、スウェーデンのサーブだ。

2000年代にGM(ゼネラルモーターズ)傘下となったサーブは、スバル車をベースにした新型モデル「9-2」を発売したが、これは「インプレッサ」のメカニズムやボディをそのまま、顔だけをサーブにしたものだった。

当然、そこにサーブらしさはなく、販売は低迷。ついには、リーマンショック後に破綻へ。その後も紆余曲折はあったが、結局のところサーブという名前自体が消滅してしまった。それを間近で見ていたスバルは、安易なクルマ作りのしっぺ返しの痛さを、よく理解しているはずだろう。

今こそ足かせを外すとき

では、スバルブランドの特徴を残したまま、厳しい燃費規制をクリアするにはどうすればいいのだろうか。無難なのは、機械式4WDを一部モデルでもいいから諦めることではなかろうか。

後輪をモーター駆動の電気式4WDとし、前輪のハイブリッド用モーターを強化。燃費を一気に高める車種を、1つでも用意するのだ。今の「WRX」のようにスポーツ走行が可能な4WDを売りにしたいのであれば、左右の後輪に1つずつモーターを備える3モーター式としてトルクベクタリング機能を持たせるなど、付加価値を与えてもいいだろう。

WRX S4 STI Sport Eyesight(写真:SUBARU)

「水平対向エンジン」「シンメトリカルレイアウトの車体」「機械式4WD」のうち、どれか1つを妥協するだけでも、大きく燃費向上に寄与することが間違いない。1車種だけでも燃費のいいクルマができれば、生真面目なスバルのエンジニアが何らしかの打開策を見つけるだろう。

アイデンティティを守りつつ燃費でリードしていく。そのためにスバルの知恵が試されるときがきている。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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