車いす建築士が指摘、駅「多目的トイレ」の課題 駅のバリアフリーは、改善すべき点が多い

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例えば、京王電鉄は駅員さんの接客姿勢はすばらしいのですが、明大前駅と直結する商業ビルは、エスカレーターしか設置されていません。エスカレーターは車いすでは利用できないので、このビル内の飲食店を利用するためには、いったん外に出て、大回りする必要があります。このため、雨天の日はランチを取ることもあきらめています。

駅造りのプランニングをする際に、障害者でも直接入れる構造や、エレベーターの設置を心がけていただければ、解決できるものと思います。

ありがたい親切心。しかし恐怖も

――車いす利用をしている際に、周囲の方々の対応はいかがですか?

仕方ないのですが、車いすに慣れていない方が多く見られます。私は電動車いすなので、電磁ブレーキが常時かかっているため、後ろから押しても動きません。親切心でのお手伝いだとは思うのですが、突然後ろから押そうとする動きは恐ろしいものです。車いす利用者は後ろが見えませんので。

また、健常者の視点では想像しにくいことと思いますが「エレベーターで開くボタンを押してくれる」ことは、車いす利用者の負担になります。エレベーター内に鏡がある場合はまだいいのですが、ない場合は特にエレベーター内で回転して向きを変える必要があり、他の方がエレベーター内にいると動かしにくいからです。

親切心でお手伝いいただいている方々に、要望を申し上げるのは恐縮ですが、もしお手伝いいただけるのなら「何階で降りますか」と聞いて、その階のボタンを押していただけたほうが助かります。車いす用エレベーターではない場合、操作盤が低い位置にない場合があるので、視点が低い車いす利用者は押しにくいことがあるからです。

――近年のバリアフリー施策で、特に優れていると思うことを挙げてください。

JR飯田橋駅は新宿方面にホームを移動した際に、エレベーターが設置され、使い勝手がいい駅になりました。新宿駅も東西通路が開通して地下街からアプローチできるようになりましたし、東京駅もリニューアルで新幹線に乗りやすくなりました。

JR御茶ノ水駅の改装はとてもいいですね。御茶ノ水駅はエレベーターがなく、階段昇降機での上り下りでしたが、エレベーターができました。それだけでなく、だれでもトイレもエレベーターの近くに設置されており、最高の使い勝手です。

安藤 昌季 乗り物ライター

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あんどう・まさき / Masaki Andou

1973年、東京都生まれ。編集プロダクション「スタジオサウスサンド」代表で、通勤電車の座席から寝台まで広く関心を持つ「座席鉄」。「鉄道ぴあ」「旅と鉄道」「AERA.dot」「週刊日本刀」などで、乗り物・歴史関係の執筆を広く手掛けるほか、鉄道キャラクター企画、ゲームデザイン、イベント主催なども。著書は「教えてあげる諸葛孔明」(角川ソフィア文庫)、「夢の新幹線 ものしり学習帳」(玄光社)「日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き」(天夢人)

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