視覚障害者「駅ホーム転落事故」対策は万全か

普及進まぬホームドア設置、昇降式は難点多い

視覚障害者の駅ホーム転落事故が後を絶たない(編集部撮影)
視覚障害者によるプラットホームからの転落事故が後を絶たない。2020年もホームからの転落事故で4人もの命が失われた。事故を防ぐためにはどうすればよいか。全日本視覚障害者協議会(全視協)の山城完治理事長に話を聞いた。

──山城さんはホームの点字ブロック普及のきっかけになった「上野裁判」を支援していますね。

はい。上野裁判は1973年に全盲の上野孝司さんが高田馬場駅のホームから転落し、電車とホームに挟まれて亡くなった事件を巡る裁判です。この裁判は一審で「国鉄のように大量輸送を目的とする機関にあっては、できるだけ事故の発生防止のための人的物的設備をなすべき義務がある」との判決が出ました。1986年の二審では「国鉄は公共の高速度交通機関であることに鑑み、今後とも視覚障害を有する乗客の安全対策に努力する」との和解条項が定められ、駅の安全な利用を支える設備の普及に影響しているのです。

視覚障害者に望ましい転落対策とは

──もっとも効果的な転落対策は何でしょうか。

ホームドアの設置です。線路に落ちなければ死亡事故はありませんから、設置されていれば安心感という意味で、あるなしでまったく違います。しかし2019年度末でホームドア設置駅数は858駅です。全国の鉄道駅数は2020年3月現在で9249駅ですから、1割も設置されていないのが現状です。

──事故はどの程度の頻度で起こっていますか。

国土交通省は2010年度から「駅ホームからの転落に関する状況(視覚障害者)」を公表しています。これに全視協が把握している情報を加えると、10年間に694件の転落事故が発生し、24人の尊い命が失われています。1週間に1回より多くの転落事故が、どこかで起きているのです。死亡事故でなければ報じられませんので、実感はないでしょうが。

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