車いす建築士が指摘、駅「多目的トイレ」の課題 駅のバリアフリーは、改善すべき点が多い

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運賃を半額にするためだけに、障害がない人がわざわざ車いすを使うとも思えないので、車いす利用者は障害者手帳の確認なく割引にできないものでしょうか。また、障害者に対応したスイカを実用化し、アプリで介護者も含めた情報を自動的に適用していただければ、車いす利用者側の負担はかなり減るものと思います。

なお、バス会社も会社ごとに割引率が異なり、覚えきれません。例えば都営交通には無料定期券があり、通用期限内はずっと無料です。行政がガイドラインを作り、制度をシンプルにすることはできないでしょうか。

案内は車いす利用者の目線で

――駅の利用しやすさはいかがですか?

車いす利用者の目線の高さは、身長110cmの小学3年生くらいです。初めて訪れる駅で乗り換えする際には、この目線の低さが問題となります。一般人は目線が高いので、広く遠くの標識を認識できますよね。迷いそうになったら振り向くこともできるでしょう。

しかし、車いす利用者にはいずれも難しいので、道に迷いやすいのです。車いす利用者にとって、特に必要な情報はエレベーター、障害者対応の「だれでもトイレ」(多目的トイレ)、改札口の表示です。

小田急電鉄は駅のリニューアルによって、だれでもトイレの数が増えて、ありがたく思っています。しかし、特に東京では混雑が激しく、数の少ないだれでもトイレは誰かに専有されていることが多いのです。可能であれば一般のトイレを、段差がなく幅の広い引き戸を備えた、車いす対応個室に改装していただければうれしいです。また、少し通路のスペースは必要になりますが、立位が取れる男性利用者のために、手すりのある小便器を増やしていただきたい。

あと、現状ではエレベーターや段差の有無をスマートフォンで知るのは難しいため、バリアフリー状況に対して鉄道会社に連絡する必要がありますが、不便です。エレベーターや段差の有無、改札口の位置を表示してくれるアプリを開発していただければと思います。

駅の改札外も改良の余地があります。車いす利用者は雨が苦手です。上肢に障害がある方が多いので、傘やポンチョを準備することは大変なのです。なんとか準備しても、十分な対雨姿勢は取れませんから足先などが、びしょ濡れになることも多くあります。

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