車いす建築士が指摘、駅「多目的トイレ」の課題 駅のバリアフリーは、改善すべき点が多い
――通常は駅員さんが列車の出入り口とのスロープを設置するのですよね?
そうです。改札口で行き先を告げると、ほとんどの場合、私たちは改札口付近で待機することになります。駅員さんが降車駅に連絡を取り、その駅にスロープを設置できる担当者がいるのかを確認するためです。東急東横線では駅員さんがスマートフォンを首から下げており、車いす対応アプリで決済するため、スピード感ある対応をしていただいています。
JRは時間がかかることが多いですね。JRではエキナカに飲食店も増え、買い物も行えるようになっています。こうした駅構内の移動時は、スロープを保持した駅員さんの後をついていきますので、施設利用時に気を遣います。
ホームと車両の高さを合わせていただければ、スロープの設置が不要になりますから、駅員さんも持ち運ぶ必要がなくなり、商用施設も利用しやすくなると思います。
なお、車いすスペースの位置が車両ごとに異なるのは、利用者側の負担が大きいので、これは統一していただきたいですね。
障害者手帳を提示する負担
――障害者向けの料金制度はどう感じていますか?
JR、地下鉄、私鉄、バスのそれぞれで割引制度が異なるので、利用前に各会社に聞く必要があります。「聞かなくても教えてくれる」ことはないので、割引制度があったとしても、障害者が知らずに利用している場合もあるかと思います。
――障害者向け設備の案内が行われていないケースもあるようですね。
最近になるまで、ほぼすべての特急列車や新幹線に障害者対応の多目的室や車いす対応トイレ、車いす対応座席が備わっていることを知りませんでした。障害者手帳を出して、特急列車の指定席を予約した際にも、そのような設備があるという案内がなかったからです。
切符の発券といえば、JRでは障害者手帳を持っていれば本人は半額、介助者も第1種身体障害者なら半額となります。第2種身体障害者でも、乗車距離が100kmを超えれば本人だけが半額となります。この割引はSuica(スイカ)の場合は後で返金されますが、面倒なので、現金かスイカで運賃が半額となる子ども用の切符を買っています。
この場合、切符売り場に掲げられた運賃表に目的地までの運賃が表示されていれば、子ども用の切符を買って、乗車駅の改札で障害者手帳を示すだけで済みます。しかし、運賃表の範囲外だった場合は、下車駅でも障害者手帳を示さねばなりません。
車いすの利用者は、足だけでなく、上肢に障害がある人も多いのです。私は脳卒中の後遺症で片麻痺があるため、鞄から障害者手帳や切符、スイカを取り出すのは負担があります。
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